Muscat～フジテレビの番組情報

フジテレビアナウンス室に配属となった堀池亮介（ほりいけ・りょうすけ）アナウンサー、藤本万梨乃（ふじもと・まりの）アナウンサーを始め、全国のFNS各局で採用された新人アナウンサーが集まり受講しているアナウンス研修の模様を紹介するレポートの第3回。

この日は、元フジテレビアナウンサーの須田哲夫さん（現在はフリーアナウンサー）を迎えての「フリートーク」。「僕が一方的に話すのではなく、みなさんとのトークセッションでやっていきましょう」と新人アナたちに呼びかけた須田アナ。ジョークを交えた楽しい語り口調だが、新人アナたちは当初、かなり緊張した面持ちだった。

それもそのはず。須田アナといえば、1971年にフジテレビに入社し、19年3月まで在籍。『3時のあなた』『おはよう！ナイスデイ』『FNNスピーク』『FNNスーパータイム』『めざましテレビ』『FNNスーパーニュース』『新報道2001』などなど、報道・情報番組を中心に多くの番組を担当した大先輩だ。

アテンドした藤村さおりアナからも「フジテレビといえば、須田アナウンサー。テレビを付ければいつもそこにいらっしゃった方なんですよ」との説明を受け、どんな先輩が登場するのだろうか、と不安もあったようだ。

それが、「こんにちは～」とにこやかに登場した先輩に、ホッと安堵したよう。

【フリートーク】講師：須田哲夫アナウンサー

須田哲夫アナウンサー

そんな須田アナが新人アナたちと話したい、とテーマにしたのが「AI時代のアナウンサー」。先日、中国でAIのアナウンサーが誕生したことがニュースになったが、それをどう思うか、と問いかけるところからスタートした。対して、新人アナたちは、「ニュースを読むことはできても、感情が伝えられないのでは…」と返答。

須田アナは、「まさにそう。今の時代、アナウンサーもAIにとって代わられるのでは、との心配もあるかもしれませんが、僕は人間の感情にAIは追いつかないと思うんです」と、AIと生身のアナウンサーの違いは「感情」だと伝えた。

自身が尊敬するという数学者の藤原正彦先生の言葉を引用し、「はにかみ、恥じらいという、惻隠（そくいん）の情、思いやり、相手の心を深く理解しようとする気持ち。インタビューする時も、相手を知ろうとすることが大事で、これが人間なんです。みなさんも、成長するにしたがって、そういった部分が、もっと理解できるようになる。変わってきますよ。そうやって進化できるのが人間。AIはそこまでできない、という藤原先生の意見に賛成です」と話す須田アナの言葉を新人アナたちはかみしめていた。

「令和」という時代を迎え、ますますそういった「感情」の部分が大事になるのでは、と須田アナ。ちなみに、と令和についてのエピソードも披露した。

人に対して寛大になり、相手を受け入れる社会に

トーク後半では、須田さんが4年暮らしたニューヨークでの生活に関するエピソードを。近年、あおり運転、逆走運転など、車の運転に関するマナーが問題になることが多いが、車社会のアメリカでは、意外や運転マナーはいいのだという。

「日本だと、車が合流する時でも、『絶対に譲らない』と張り合って、クラクションを鳴らすようなこともありますけど、アメリカは譲り合いが基本。それは、車社会で過去に何度も子供が巻き込まれるような大事故が起こって、その反省からルールが厳しくなっているからです」と説明。

また、日本では、高齢者ドライバーへの風当たりが強くなっているが、高齢者だけではなく、すべての世代を含めて大きな意味でマナーが改善され、「人にやさしい成熟した社会ができることが理想」だとも加えた。

「令和」の「令」の中には、「美しい、うるわしいという意味だけではなく、穏やかな調和、“和をもって尊ぶべし”という日本的なよさを表す意味も含まれています。そういう点から、『寛容性』ということも意識したいと思います。人に対して寛大になる、相手を受け入れる。『令和』の中には、人を受け入れるやさしさというものが含まれているのかな、と思います。みんながいかに尊厳ある暮らしができるか、これが一番大事だと思う。その人らしく、それぞれ違っていいんですよ。お互いの違いを認め合う世の中になればいいし、みなさんもこれからアナウンサーとして修業しながら、それを感じていってください」と話した。

やさしい口調の中にも、含蓄の多い言葉は、新人たちの胸に染み入ったようだった。

研修中の新人アナウンサー

岩手めんこいテレビ・三宅絹紗アナ、花田凌南アナ
岡山放送・北村麗アナ、今川菜緒アナ
沖縄テレビ放送・植草凛アナ
サガテレビ・橋爪和泉アナ
福井テレビジョン放送・佐橋嬉香アナ
フジテレビ・堀池亮介アナ、藤本万梨乃アナ

（※放送局50音順）


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