2019.02.12更新
真野(錦戸亮)のもとに、「君のお兄さんのことで話がある」という正体不明の男からの電話があった。真野は、指定された場所で男を待ち続けた。だが、そこには誰も現れなかった。
そんな折、河川敷でホームレス男性の変死体が発見される。被害者は新妻大介(伊藤高史)。高校3年生のときに失踪して以来行方不明だった男で、捜索願も出されていた。死因は溺死だったが、肺や喉、鼻の奥には液体が残っていたものの、体には濡れた痕跡はなかった。血中からは二種類の向精神薬成分が検出されており、薬の併用によって意識が混濁した状態で死亡したものと思われた。また、現場には血液のようなものが付着した左手用の軍手も落ちていた。
虎丸(船越英一郎)たちは、科捜研の海塚(小雪)に、遺体から採取した液体と軍手の検査を頼むとともに、臨場を依頼する。海塚は、それを英里(岡崎紗絵)に任せようとした。しかし、現場がホームレスのたまり場ということもあって若い女性ではない方が良い、という沖田(加藤虎ノ介)らの意見もあり、真野が担当することになる。そこに、何故かノンナ(新木優子)も巻き込まれてしまい……。
鑑定の結果、液体は水道水で鉄の錆と思われる成分が検出された。一方、軍手にはいくつかの小さな穴が開いており、男性ひとり、女性ふたりの古い血液が付着していたが、データベースで照合しても身元は不明だった。また、軍手の内側から検出された皮膚片は、DNA鑑定の結果、被害者とは別の人物のものであることが判明する。
臨場に向かった真野たちは、現場付近の水道から水を採取する。その際、ホームレスたちの暮らしぶりの良さに気づく虎丸。するとそこに、早川尚文(萩原聖人)が献花を持って現れた。早川は、新妻の高校時代の担任なのだという。虎丸は、新妻が失踪した理由を早川に尋ねた。そこで早川は、新妻の友人が家族を刺殺して自殺したことにショックを受けていた、と話す。それは、25年前、真野の家族が殺された「武蔵野一家殺人事件」のことだった。
採取した水道水と遺体に残っていた水は一致しなかった。その夜、ノンナは、相楽(山崎樹範)たちと飲みにいく。そこでノンナは、武蔵野一家殺人事件についての話を聞く。事件は、高校生の長男が両親と妹を刺殺し、その後首をつって自殺するという凄惨なものだった。当時すでに科捜研にいた市原(遠山俊也)によれば、前任の科長が事件を担当したものの、いじめが原因で引きこもっていた長男による犯行が裏付けられたためか、すぐに捜査は打ち切られたらしい。その際、海塚は、前任科長の下についていたのだという。
虎丸たちは、ホームレスたちが頻繁に生活用品を購入していた事実をつかむ。その中には元締めと思われる男もいることから、組織的に何らかの犯行を行っていると読んだ虎丸は、彼らの出入り先をマークして金の出どころを突き止めるよう指示する。
ホームレスたちが暮らす河川敷に単身で訪れた真野は、あるテントに忍び込み、設置されていた冷蔵庫の中の氷を採取する。すると、戻ってきた住人に気づかれ、ホームレス集団から暴行を受けてしまう。その危機を救ったのは、早川だった。病院で手当てを受けた真野は、早川に、源義一(倉悠貴)の弟であることを告白し、新妻のことを尋ねる。そこで早川は、新妻が義一をいじめていた主犯のひとりだったことを告げる。
虎丸はホームレスたちを傷害罪で逮捕し、テントを調べた。すると、大量の薬が発見される。生活保護を受けている彼らは、無料で手に入れた薬を売りさばいていたのだ。報告を受けた真野は、元締めらしき男のテントで採取した氷と、遺体に残っていた水の成分が一致したことを虎丸たちに伝えた。猪瀬(矢本悠馬)は、薬の併用で朦朧としていた被害者が、氷を喉に詰まらせて死亡したのではないか、と推測したが……。
真野は、海塚から行き過ぎた単独行動をたしなめられる。資料室を訪れた真野は、そこで武蔵野一家殺人事件に関する鑑定書の控えを見つける。担当欄には藤田新太郎(伊藤正之)という名前が記載されていた。
あくる日、真野は藤田の自宅を訪ねた。そこで真野は、藤田の自宅から海塚が出てくるところを目撃する。海塚が去ったのち、藤田の家を訪れる真野。藤田は15年前に肝臓がんで他界していた。藤田の妻・早苗(長野里美)によれば、彼が亡くなってからは科捜研の関係者とは交流がないという。
真野が科捜研に戻ると、早川から電話が入る。真野と会った早川は、義一に対するいじめを知りながら何もできなかったことを詫びた。そこで真野は、兄が大検を受けようとしていたことを伝え、どんなに苦しいことがあっても家族を殺して自ら命を絶つような真似は絶対にしない、というと、解決済みの証拠品が処分されていること、そして新妻の事件の前に男から電話があったことを話す。電話の男は新妻だったのかもしれない、と。一方、早川も、事件当時、新妻のところに刑事が来て何度も事情聴取をしていたこと、そして彼の指紋をとっていたことを思い出し、真野に伝える。第三者の指紋採取は被疑者を絞り込むために行われることから、殺害現場には不審な指紋が残っていたのではないかと推測した真野は、25年前の事件と新妻の死に何らかの関連があるのではないかと考える。
軍手に付着していた古い血液のことを思い出した真野は、一度科捜研に戻ってあるデータを照合すると、海塚に会いに行く。そこで真野は、軍手の件に触れ、武蔵野一家殺人事件との関連性について言及する。そして、自分があの事件の唯一の生き残りであることを海塚に告げると、自宅に保管してある家族の遺品からDNAを採取すれば軍手の鑑定データと照合できる、と続けた。
その夜、海塚は科捜研に戻り、軍手の解析データに改ざんを加える。と、そこに真野が姿を現した。真野は、海塚が来ることを予想していたのだ。しかも真野は、入所してすぐに家族のDNA型を鑑定しており、軍手に付着していたのは、両親と姉のものだったことを海塚に告げる。英里を担当にしようとしたこと、藤田家を訪れていることを追求された海塚は、観念してすべてを真野に打ち明けた。海塚とともに武蔵野一家殺人事件の鑑定を手がけた藤田は、DNA鑑定が主流になる日に備えて、軍手から検体を切り出していた。軍手に穴が開いていたのはそのせいだった。だが、鑑定書を作成してしばらくすると、鑑定書の控えやメモ、事件に関するすべての資料を提出するよう命令されたのだという。その代わりに渡されたのは、改ざんされた鑑定書の控えだった。月日が流れ、藤田の葬儀に出席した海塚は、早苗から武蔵野一家殺人事件に関する鑑定書控えと捜査資料が記載されたノートを受け取っていた。藤田が密かに複製したものだった。真野がそのノートに手を伸ばそうとすると、海塚は、真野があの事件で生き残った「源礼二」であることを知っていた、と告げる。真実を伝えなかったのは、真野のことが心配だったからだ、と続ける海塚。納得できないことがあったが、証拠も処分されてしまったいま、いくら真実を追求しても答えにはたどり着けないというのだ。海塚は、いまでもその気持ちに変わりはないが、どうするのかを決めるのは真野自身だと告げ……。
虎丸は、新妻の件の捜査に打ち切り命令が出たことを猪瀬から聞く。警察庁にいる先輩から聞いたらしい。
壇(千原ジュニア)は、ホームレス事件に関する鑑定書を受けとる。鑑定人として記されていたのは真野だった。
海塚から受け取ったノートを見た真野は、ある一文に目を止める。そこには、姉の仁美が妊娠中だったことが記されており……。
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