Muscat~フジテレビの番組情報

2018.12.07更新

『ウゴウゴ・ルーガ』のDNAから『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』ができるまで

下川猛チーフプロデューサーに聞きました

10月から放送がスタートした子ども番組『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』。2人の子ども「じゃじゃじゃ」と「じゃ〜ン」が、人工知能の「AIさん」と旅をしながら、さまざまキャラクターと出会います。CGを駆使した番組作りや、シュールなコーナーの数々に、かつてフジテレビで人気を博した子ども番組『ウゴウゴ・ルーガ』を思い出す方も多いのではないでしょうか。

左からAIさん、じゃじゃじゃ役の大野琉功くん、じゃ~ン役の竹野谷咲ちゃん

『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』はいったいどのように作られているのか?そして、『ウゴウゴ・ルーガ』との関係は? 下川猛チーフプロデューサーに、番組の舞台裏を聞きました。

下川猛チーフプロデューサー

クセが強すぎて全部「ウゴウゴ・ルーガ味」になってしまう

ーー『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』が始まった経緯について教えてください。

下川:
元々、子供番組ありきの予定ではなかったんです。イオンとフジテレビが共同で知的財産(IP)を開発しようというプロジェクトが発足し、一緒にキャラクター開発しよう、という話からスタートしました。いくつか会議を重ねるなかで、「子ども番組を作り、これをきっかけにキャラクターを展開する」という方向性が出たんです。

このプロジェクトのターゲットは小学校低学年。フジテレビの子ども番組と言えば『ひらけ!ポンキッキ』ですが、この番組は4〜6歳くらいの未就学児向けなのでちょっと合わない。そこにちょうどハマったのが『ウゴウゴ・ルーガ』という番組だったんです。イオンの担当者さんの中にも当時番組を見ていた人がいて、「ウゴウゴ・ルーガみたいなものを作れたらいいね」とイメージを共有して、企画開発を進めていきました。

ーーキービジュアルや世界観をデザインした田中秀幸さん(フレームグラフィックス)など、スタッフの中にも『ウゴウゴ・ルーガ』に携わった方が並んでいます。

下川:
そうですね。監修には当時番組のスタッフだった石井浩二が入っています。あんなに話題になりましたけど、『ウゴウゴ・ルーガ』って実は1年半しかやっていないんです(1992年10月〜1994年3月)。平日に毎日放送があって、後半はゴールデンで生放送もあり、全力で走りぬいた番組だったんでしょうね。あの当時、どうやって「みかんせいじん」などのキャラクターが生まれたのか、企画の意図は何だったのかなど、貴重な話を聞かせてもらっています。

とはいえ、ほぼ8割のスタッフが今回のために集まった若いスタッフたち。当時のことを咀嚼しながら、「だいなしむかしばなし」「クレーンゲーマーつかみ」など、新しいものを作ろうとしています。「5時5分の社会科見学」などの実写のコーナーも、ウゴウゴ・ルーガには、あまり無かったものですね。

ただ……やっぱり『ウゴウゴ・ルーガ』の個性が強すぎて、ちょっとでも個性が強い調味料が入るとウゴウゴ・ルーガ味になってしまうんですよ。劇薬なんです(笑) それだけあの番組が凄かったということでしょうね。

「謎の男」AIさんの正体は……?

ーー「じゃじゃじゃ」の大野琉功くんと、「じゃ〜ン」の竹野谷咲ちゃんを起用した決め手はなんだったのでしょうか?

下川:
300人くらいの子供のオーディションから、あの世界観にハマる子を、と選びました。竹野谷咲ちゃんは子役のキャリアがある一方で、大野琉功くんはテレビの仕事がほぼ初めて。二人とも同い年の小学1年生なんですが、女の子のほうがお姉さんな感じが番組にも出ているかなと。収録は朝8時からと早いんですが、子どもたちは元気ですよ。休憩時間は衣装を脱いで走り回っています(笑) 。声の出演の芸人さんもいらっしゃいますし、賑やかで楽しい現場ですね。

ーー「イケメンシェフ」の篠宮暁さん(オジンオズボーン)や、「オッス団長」の森田哲也さん(さらば青春の光)など、個性的なキャラクターや芸人さんがたくさん出ていますよね。

下川:
先にキャラクターがあって、それに合った声の芸人さんを探すようにしています。いろいろな声を出す「ユーチューババア」はモノマネが得意な梅子鉢の高田紗千子さんとか、腰の低い「テング課長」はオテンキののりさんとか。バブル用語を教える「バブリー先生」には、ベッド・インのちゃんまいさんにお願いしています。子ども番組なので、得意の下ネタを封じられて苦労されていましたが。

ーースタジオではどのように収録しているんでしょうか?

下川:
芸人さんが直接目の前にいると、子どもたちのリアクションが変わってしまうので、そこはキャラクターを一枚挟むよう工夫しています。ただ、距離感をつかむのが難しいみたいで、オッス団長は最初「オッス!」をやりすぎてしまって、子どもがおびえてしまったり……。回を重ねるにつれ、徐々につかんでもらっていますね。

ーー声の出演で気になると言えば、「AIさん」の声が「謎の男」なんですよね……?

下川:
これはですね……ご本人から「謎にしてほしい」と言われているんです。スタジオや楽屋の貼り紙も「謎の男」と書いてますし、社内でも正体を知る人は少ないんじゃないでしょうか。でも、そのくせ本人は結構アドリブも入れてくるし、よく聞くと正体がバレそうな発言もあるんです。それなのに「自分から言いたくない」(笑)。本人の気持ちが整ったら発表があるんじゃないでしょうか。

ベテランと若手、古きと新しきを「ごちゃ混ぜ」に

ーー今後『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』でやりたいこと、展望などを教えてください。

下川:
せっかく短いコーナーをたくさん差し込める構成なので、もっといろいろな企画を試したいですね。情操教育の番組なので、読み書きそろばんではなく、空間認識や音楽、色彩などから子どもたちに刺激を与えていければ。ただ全てをいかにも「子ども向け」で揃える必要はないかな、とも思っています。子どもが自分で選ばないものを流すのも、テレビの役目のひとつですから。

あとは、若いクリエイターさんたちとも積極的に仕事をしたいですね。LINEスタンプやGIFアニメなど、ネットを中心に活動しているクリエイターと『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』という場所で一緒に遊べたらなと。SNSで面白い方を見けたら、声をかけたり、会いに行くようにしています。

石井が言うには、『ウゴウゴ・ルーガ』の時もそうだったみたいです。当時最先端のCGを使った番組制作とか、若手クリエイターからの持ち込みとか、新しい人やモノをどんどん吸収していたと。その精神は活かしておきたいですね。ベテランと若手、古きと新しきをごちゃ混ぜにした中から、新しいものが生まれればと思います。

ーー最後になるのですが……ガチャピンとムックは今後登場するのでしょうか?

下川:
そうなんですよね……ガチャピンさんムックさんもお忙しいみたいで……。 芸歴45年の大ベテランですから、1ヶ月前くらいからきちんとオファーを、と思ってるんですがなかなか……。でもいつか出ていただけたらと思うので、がんばって調整します(笑)。

取材・文=井上マサキ

番組情報

『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』
<放送>
毎週土曜 4時52分〜5時22分
<出演>
大野琉功
竹野谷咲
AIさん

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。