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初代女王へ、「形」のエース清水希容

10月14日放送の『S-PARK』は、東京オリンピックの新種目として注目されている空手・形(かた)の金メダル候補、清水希容(しみず・きよう)選手に密着。その強さの秘密に、柔道オリンピック３連覇の野村忠宏さんが迫りました。

東京オリンピックで頂点を目指す絶対女王

10月14日に行われた、空手・プレミアリーグ東京大会(世界７年を転戦する賞金大会の最終戦)。女子個人・形で世界選手権２連覇中の“絶対女王” 清水希容選手は、世界ランク１位のサンドラ・サンチェス選手(スペイン)を下し、優勝。

準決勝まで、相手に１ポイントも与えることなく決勝進出を果たした清水選手。決勝の演武は、得意の「北谷屋良公相君(チャタンヤラ クーサンクー)」。静と動を抜群のメリハリで表現すると、４－１で完勝。空手発祥の国のプライドをかけ、地元開催の大会を制しました。

「“THE 日本”っていう雰囲気を味わいながら演武するのは、いい経験になりましたし、『オリンピックになったらどうなるのかな？』と、ちょっとドキドキしながら演武しました」と語る清水選手。

空手・形は、一連の決まった動作を、対戦相手を仮想して演武する種目。スピード、バランス、正確性などを判断基準に、(現在の競技法は)５人の審判員の旗判定で勝敗が決まります。

清水選手は、現在24歳。普段はほんわか、笑顔がチャーミングな女の子。しかし、ひとたび道場に上がると、表情が一変。気合を全身にほとばしらせます。希容――「希望の器を大きく、器をどんどんどんどん大きくして、希望をしっかり叶えていけるように」と、願いが込められた名前の通り、清水選手の希望は、強く大きく育っています。そんな清水選手に、野村さんが声をかけます。

野村：まず声のボリュームに、ちょっとびっくりして。そこからの顔、表情とか、動きとか、キレも力強さもスピードも「これが世界のトップなんだ」と感じさせられる演武だった。汗もすごいね…。
清水：汗っかきなんです(笑)。

野村：例えば、柔道の場合、力強さ・剛の部分があって、逆に柔らかい部分もすごく大事。空手の形の場合はどうですか？
清水：やっぱり、ずっと速い動作だけだと、その速さが活きないので、速さの中いかに一瞬“抜く”か。緩急をつけないと技も活きてこないので、「攻め」と「引き」がすごく大事になってくると思ってます。

小学３年生のときに、兄の影響で空手を始めた清水選手。20歳で全日本選手権を最年少で制すると、そこから５連覇。世界選手権でも２連覇中と、まさに空手界の“絶対女王”といえる存在です。

野村：清水選手の場合、ひとりで自分を磨いていかないといけない。その難しさって、経験はないけど、「どうするんだろう？」って。
清水：いくら空想の相手がいるといっても、実際にはいないので。どう表現したらいいのかっていうのを、自分自身と会話しないとできないので、常に自問自答してるような状況です。同じ技でも、やればやるほど終わりはないですし、完成がないからこそ、形って面白いなって思います。
野村：完成はない？
清水：ないです‼

だが、心に一転の曇りもないように見える女王でも「不安ですよ。常に不安です。勝てば勝つほど、それは大きくなりますし」と、人知れず、勝ち続けることへのプレッシャーとも戦っています。昨年10月には、国際大会で５年ぶりの敗戦。「やっぱり勝ち続けてきたからこそ、『負けられない』っていう思いが強くて、そのプレッシャーに自分自身が負けてしまったので、(今は)勝ち負けじゃなくて、どういう形で、どう心に響く形が打てるかっていうのを大事にしたいなと思って。そこを重点に置いてやっています」と、負けを知ったことで、さらに強くなれたと語ります。

野村：東京、しかも日本武道館ですよね。どんな演武を見せたいって、イメージとして頭に描くものってあります？
清水：正直、自分が優勝して喜んでいるイメージはちゃんとできています(笑)。最初に私が目指した舞台が日本武道館。“武道の聖地”と言ってもいい会場、その舞台で恩返しがしたいと思っているので、そういう形が打てたら、とは思っています。
野村：今は、(希容という)名前通りにいっている感じ？
清水：そうなれるように、今は必死で努力してます。

清水選手は、大きくなった希望の器を、あと２年に迫った東京の舞台で叶えるつもりです。

番組情報

『S-PARK』

＜放送＞

毎週土曜　24時35分～25時15分
毎週日曜　23時15分～24時30分

＜キャスター＞

宮司愛海(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
中村光宏(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
鈴木唯(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)
黒瀬翔生(ﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞｱﾅｳﾝｻｰ)