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2018.09.30更新

『石橋貴明のたいむとんねる』勝手に語り継ぎたい あのゲストの裏話

『たいむとんねる』岡宗秀吾Dに直撃

石橋貴明さんとミッツ・マングローブさんが、ゲストと共に「日本のちょっと前」を振り返る『石橋貴明のたいむとんねる』。今年4月の番組スタート以来、お笑い、スポーツ、漫画など様々な分野を「勝手に」語り継いできました。今回は番組同様に時計の針をちょっと巻き戻して、番組ディレクター・岡宗秀吾さんにこれまでの放送を振り返っていただきました。

この番組ならではの「セッション」が魅力のひとつ

―番組に登場されるゲストの方は、石橋さんと縁の深い方もいれば、意外にもテレビ初共演の方まで様々です。ゲストのキャスティングで意識されていることはありますか?

岡宗:
30年も続いた『みなさんのおかげでした』の直後に始まった番組ですので、これまでとんねるずさんとご縁があった方はもちろん、リリー・フランキーさんや水道橋博士さんなど、テレビ初共演の方との新たなセッションも一つの魅力となればと思っています。貴明さんとどんな絡みをするんだろう、というのは視聴者にも興味があることでしょうし、僕らも興奮しながら見てしまいますね。

―これまで登場いただいたゲストのなかで、特に印象に残っている方はいらっしゃいますか?

岡宗:
1回目に来ていただいた工藤静香さん。『夕やけニャンニャン』でのとんねるずさんとの絡みはリアルタイムで見ていましたから、憧れのお二人にテレビマンとしてお会いできたのは感無量でしたね。昔の水着の映像なども快諾してくださいましたし、これも貴明さんとのご縁があってのことだと思います。

―貴重なVTRがたくさん登場するのも『たいむとんねる』の醍醐味です。爆笑問題・太田光さんがゲストの回は、とんねるずが『オレたちひょうきん族』に初めて登場したときの貴重映像が流れましたよね。あのとんねるずが完全にアウェイで……。

岡宗:
先輩たちの洗礼を受けてメチャクチャにされるんですよね。「一気!」を歌おうとするんだけど、小道具のビール瓶で頭を殴られ、ゴミだらけにされ、全く歌わせてもらえない。今では大御所として認知されているとんねるずさんにも、若手のころはそんなシチュエーションがあったのかと。太田さん自身とても熱を持って語ってらっしゃいましたし、我々もこのシーンを出すことにはすごく意味があると思い、貴明さんにその趣旨を伝えました。この番組だから出せた映像ですよね。

語り継ぐだけでなく、ロケや生放送も

―番組の内容やテーマ、キャスティングには石橋さんも絡んでらっしゃるんでしょうか?

岡宗:
はい。貴明さんから「こういうのやりたいね」とお話をされることもあります。先ほどの太田さんの回もそうですし、あしたのジョーやディスコも絶対やりたい! と仰ってましたね。江夏豊さんをお呼びしたのも、貴明さんがどうしても来ていただきたいと。

―「江夏の21球」など、野球界に残る伝説を石橋さん自らご本人に聞く回でした。この番組では珍しく、石橋さんが手元に資料を置いて質問されていたのが印象的です。

岡宗:
やはり野球人としてのリスペクトもあるのだと思います。江夏さんは「アウトロー投手」というイメージがありますが、ご本人はとても柔和で、我々にも丁寧に接していただきました。実は……このとき、江夏さんの盟友でもある、衣笠祥雄さんが亡くなられた直後の収録だったんです。タイムリーな話題ですし、この機会に衣笠さんとの思い出を掘り下げることもできたでしょう。でもそこはお二人のことですから、あえて深追いはせず、話の流れで衣笠さんが登場するだけに留めました。最後に江夏さんから『衣笠のこと、さらっとやってくれてありがとね』と仰っていただいたのが、とても感慨深かったですね。

―「勝手に語り継ぐ」に限らず、高嶋政宏さんがロケを案内する「変態グルメ」も異色回でした。マグロが美味しいお寿司屋さんに行って、あじフライを食べさせるとか。

岡宗:
あれも強引に言えば「高嶋さんが語り継ぎたい味」なんです。実際、登場するお店は老舗ばかりですしね。そこに高嶋さんの変態性が乗っかっているわけで。生放送やロケなど、スタジオトーク以外にも可能性は常に模索しています。貴明さんにも「真面目に作んなよ」とよく言われるんです。起承転結が固まっていて最後に「あなたにとって○○とは?」で締める、みたいなパターンに陥るのはつまらない。語り継ぎたいという骨子がありながら、フットワークの軽い番組でありたいです。

成功体験や失敗談から吸収できることがたくさんある

―『たいむとんねる』は、いわゆる「ゴールデンタイムの視聴者層」より、ターゲットを高めの年齢層にグッと絞り込んでいる印象を受けます。これは企画段階から想定していたのでしょうか。

岡宗:
そうですね。ただ「想定外のターゲット」に引っかかるのも、理想的な番組の条件なのかなとは個人的に思います。例えば、子供って「オモチャのケータイ」と「本物のケータイ」だったら、本物のケータイのほうを触りたがりますよね。昔の『11PM』みたいなお色気番組だって、お父さんに向けて放送していけど、子供がこっそり見ていたりする。もちろん、狙ったターゲットに当てて成功した番組もありますが、狙ったターゲット層以上の方々の興味も引ける番組もまた、魅力的なのかなと。

―若い人にはわからない言葉もあるかもしれませんが、いまはスマホですぐに調べられますしね。

岡宗:
アーカイブが膨大にありますからね。いま流行っていることより、過去の出来事のほうが当然素材の量があります。「今週面白かったことを話す」と、「これまでの人生で一番面白かったことを話す」では、エピソードのレベルが違いますしね。やはり、テレビで過去の出来事をきちんと拾い上げるのは、価値のあることなのではと思います。成功体験や失敗談から、吸収できることもたくさんありますから。

―『たいむとんねる』も、出演者の「体験談」を大事にしていると感じます。

岡宗:ミッツさんも色々なことに詳しいですし、特に貴明さんは当事者なんですよね。例えば、『夜のヒットスタジオ』のマニアの方って結構いらっしゃるんです。歌謡曲の専門家の方もいます。でも貴明さんは『夜のヒットスタジオ』に出演して、実際に体感している人なんです。激動の時代の登場人物から、思い出や証言を抽出する。これが貴明さんに出ていただいている意味でもあり、テレビでやる意味でもあると思います。

―最後に、これからの『たいむとんねる』について聞かせてください。

岡宗:
貴明さんからは「こういう方に出てほしい」というお名前をいっぱいいただいていて、これを実現することが一番のミッションですね。個人的にはゲストの人生を紐解いていくような、「泣ける回」があってもいいかなと。トーク番組とバラエティ番組の狭間のポジションを保ちつつ感動できる回が、どこかのタイミングで実現できたらいいですね。

文=井上マサキ

番組情報

『石橋貴明のたいむとんねる』
<放送>
毎週月曜23時~23時40分
<出演>
石橋貴明、ミッツ・マングローブ

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。