2018.09.10更新
9月9日放送の『S-PARK』は、自転車の梶原悠未(かじはら・ゆうみ)選手に密着。1896年の第1回アテネオリンピックから、正式競技として行われている自転車。その過酷な世界で走り続ける21歳を追いかけました。
2020年の東京オリンピックでは、11種目が行われる自転車競技の中で、日本女性として初めてのメダルが期待されているのが、梶原悠未選手です。自転車と出合ったのは高校1年生のときと自転車競技歴もまだ浅く、156センチ、54キロと小柄ながら、必死の努力を続け、その鍛え上げた脚力で頭角を表しています。
「悠々と羽ばたくように、未来に向かって挑戦してほしい」――。そんな思いが込められた名前のように、梶原選手は成長を続けています。東京オリンピックでも実施される自転車競技の「オムニアム」。1日で異なる4レースを行う複合競技で、成績をポイントに置き換えて順位を決定。昨年、梶原選手は、この種目で、日本人女性初のW杯金メダルを獲得しました。
「2020年の東京オリンピックで金メダルを取るという目標に向けて、ワールドカップや世界選手権で常に表彰台の常連選手になるということは、通過点だと思っていたので、そのスタートラインに立つことができたかなと思っています」と語る梶原選手。
そんな彼女は、自身の強さの秘密について「一番の武器は、スピード持久力だと思います」と分析。男子では、最高時速70キロともいわれるトラック競技で、レース終盤でもスピードを落とすことなく走りきることができる梶原選手の圧倒的持久力は、鍛え上げられた太ももから生まれています。その太さは、なんと55センチ。高校時代には、スクワット1000回をわずか20分でこなしていたといいます。「必要な筋肉はつけていきたいんですけど、やっぱりスカートをはいて周りの友達とかと比べると、恥ずかしいときもある(笑)」と、女性らしい一面ものぞかせます。
そんな彼女には忘れられない出来事があります。ジュニア選手として最後に挑んだ、2015年のUCIジュニアトラック世界選手権。梶原選手は、わずかなポイントの差で2年連続の銀メダル。レース終了後、悔しさのあまり泣き崩れてしまいました。「金メダルを取ったのは、同じ年の選手。東京オリンピックでもきっと戦うことになると思います。絶対に勝ちたいですね。2015年にすごく悔しい思いをしているので」と大舞台でのリベンジを誓っています。
その目標に向かい、母の有里さんも「東京オリンピックが決まったときは、『絶対この舞台で一番高い場所に立とうね』という話をしました」と、全力でサポート。戦う体を作り上げるため、1日5回の食事を作ることもあるといいます。
また梶原選手は、「レース当日はすごく緊張もしますし、やるべきことを見失ってしまうこともあるんですけど、冷静なときに考えられた自分からアドバイスをもらえるので」と、未来日記をつけることで将来の自分にメッセージを送っているそう。
9月8~9日に行われた、全日本選手権(トラック)。8日には、3km個人パーシュート、マディソン(20km)の2種目を制覇。9日には、チームスプリントで大会新記録をマーク、最後の20kmのポイントレースでは、10週ごとの順位で与えられるポイントをすべて1位で獲得し完全優勝、見事4冠を達成しました。
梶原選手も「トレーニングしてきたスピードが発揮できたと思いますし、思い描いた以上の成績を残せたと思います」と満足そう。すべてのレースで優勝を達成したであろう自分を想像して書いた未来日記には『4種目優勝おめでとう』と書かれていました。
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