Muscat~フジテレビの番組情報

2018.08.16更新

手術室の医療品はほぼ本物!『グッド・ドクター』のリアルすぎるセットの数々

毎週木曜22:00から放送中!

自閉症スペクトラム障がいとサヴァン症候群を抱えながらも、小児外科のレジデントとして奮闘する青年・新堂 湊の姿を描く『グッド・ドクター』。コミュニケーション能力に障害がある一方で驚異的な暗記力を持つ人物という難しい役どころを、山﨑賢人さんが好演していることも相まって、放送後には毎回話題を集めているドラマです。

そんなドラマのメイン舞台となるのは、東郷記念病院の小児科病棟。非常にリアルなこの病棟、実は精巧に作られたセットなのです。そこに光るのは、フジテレビが誇る美術スタッフさんたちの手腕。本編をさらっと観ているだけではなかなか気付けない、そのこだわりぶりとは……?

吹き抜けから差し込む自然光が、本作に柔らかさを生んでいる

舞台となるメインセットは、なんと2階建て。吹き抜けエリアも作られており、外光が差し込む開放的な空間になっています。ドラマに流れる清潔さと優しい空気感は、この自然光による演出とも言えそう。ちなみに、渡り廊下や階段での演技シーンもあるので、基礎はしっかりとした鉄骨で組まれています。本格的!

吹き抜け部分にはこんなに大きな窓が。ここから柔らかい日差しが降り注ぎます。

作中でも頻繁に目につく、このスカイブルー。小児病棟のイメージカラーとして設定されたものです。病室や廊下、サインボードなどに効果的に使われており、ひと目で「小児病棟のシーン」であることを伝える重要な役割を担っています。

一方で、産婦人科のイメージカラーはこちらのピンク。担当科ごとに色を変えることで、シーンの切り替えを素早く視聴者に伝えます。ちなみに、スタジオは空間が限られているため、同じ空間で複数のシーンを撮影することも。その際には、イメージカラーを変えることで、同じ造りの部屋でもまったく異なる印象を持たせることに成功しています。

危険物以外は、すべて実際の医療現場で使われているもの

「医療ドラマ」の見せどころでもある、手術シーン。その舞台となる手術室では、細部に至るまでリアリティが追求されています。

たとえば、手術室の中心に据えられた無影灯や、点滴袋、ガーゼ、血圧計、聴診器などはすべて本物! スタジオに持ち込み禁止の危険物以外は、棚に並ぶ薬品にも実物を使用しているというから驚き。もちろん、すべて台帳に記入し、厳重な管理下に置かれています。

また、ドラマを陰で支えるのが「医療監修者」の存在。小道具の選定や、手当などの演技指導はもちろんですが、手術時間といった細かな部分まで監修されています。そういった些細なことの積み重ねが、ドラマにリアリティを生んでいるのです。

デスクやラックに並べられた資料。そのファイルの背表紙には、実際にありそうなラベルが貼られています。もちろん、これも全部美術スタッフさんの手作り。事前に病院をロケハンし、何度も細かくチェックするという努力の賜物です。

小児外科スタッフの衣装がすべて手作り、撮影後には……

湊をはじめとする小児外科スタッフのユニフォームは、番組オリジナル! 出演者のサイズに合わせて、一着一着手作りしています。

こちらの病院ロゴもオリジナル。イメージカラーを使った虹のようなロゴは、作品が持つメッセージである「希望」を感じさせるデザインです。

小児外科に入院する子ども患者のパジャマも、すべていちから手作り。ジャストフィットするサイズなので、みんなの「おなまえ」が書かれています。かわいい。

そして、しっかりと説明をしておかなければいけないのが、こちら。収録後に美術スタッフさんを待ち受けているのが、大洗濯大会です。使用した衣装は次の撮影に備えて、丁寧に洗います。もちろん、登場するキャラクターが多ければ多いほど、洗濯する衣装の数も増えていく……。撮影用の衣装なので、仕上げのアイロンがけも丁寧に。洗濯ノリの分量にまで気を配り、映像として映えるようにパリッと仕上げます。その苦労を想像しただけで、美術スタッフさんには足を向けて寝られません。

リアリティと遊び心を両立させた

さて、最後に『グッド・ドクター』の美術デザインを担当したデザイナー・宮川卓也さんにお話を伺います。

――医療ドラマが数多くあるなか、本作ではどのようにオリジナリティを出したのでしょうか?

「舞台が小児外科ということで、実際の小児病棟を見学しました。その際、ナースステーションから目の届く位置に子どもたちが遊ぶプレイルームがあることや、子どもたちが落ちないようにベッドの柵が高く作られていることを知り、参考にしました。また、医療ドラマでは映像が白飛びしてしまうことを避けるため、セットを若干グレーにするのが普通です。ただし、本作では“希望”がひとつのテーマになっているので、あえて色味を暗くせず、爽やかな色合いにすることを心がけています」

――実際の病院にはないデザイン演出はありますか?

「主人公には『道路の白線の上を歩く』という癖がある設定だったので、そのシーンを病院内でも見せるため、廊下の真ん中に白いラインを引いています。小学校の廊下にあるものがイメージに近いですね。これは実際の病院にはないものです」

――その他、デザインで遊び心を加えている部分はありますか?

「小児外科を舞台にした作品なので、“子ども”をモチーフにいろいろと遊びを加えています。たとえば、小児外科フロアの壁に子どものキャラクターの絵がいくつか貼ってあるのですが、どれもこれから登場する子どものキャラ設定に合わせた絵にしているんです。歌っている子だったり、スポーツ少年だったり。どれもドラマの展開を暗示する絵なので、そこもじっくり見てもらえれば!」

「医療ドラマ」にどうしても求められるリアリティ。本作では、ただそれだけを追求するのではなく、独自の設定を活かすような遊び心も加えられています。その背景にあるのは、美術スタッフさんたちの苦労。あらためていろんな人たちに支えられていることを知れば、ドラマの魅力が何十倍にも膨らみそうです。周囲に支えられながら成長していく湊の姿を、これから先、感動のラストに向けて追いかけていきましょう。

ちなみに、「フジテレビジュツのヒミツ」では、他の番組の舞台裏も公開中。普段はあまり知ることのない、裏方スタッフさんたちの活躍ぶり、ぜひ覗いてみては?

文=五十嵐 大

グッド・ドクター

<放送>
毎週木曜22時~22時54分
<出演>
山﨑賢人/上野樹里/藤木直人/ほか

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。