Muscat~フジテレビの番組情報

2018.04.16更新

リチャードが英国紳士風なら、五十嵐はイタリアじゃないか、と

毎週(月)21時放送中!

第4のコンフィデンスマン!?小手伸也さんインタビュー

第4のコンフィデンスマンが登場!? 第2話『リゾート王編』で、桜田リゾート社長・桜田しず子(吉瀬美智子さん)の裏の仕事を受け持つ男と思わせて、実はダー子(長澤まさみさん)の仲間だったのが五十嵐という男。「ダー子ちゃんというエンジェルと出会って俺は変わった」と言い切る謎の男・五十嵐を演じる小手伸也さんに、今回の役柄や撮影現場の裏話をたっぷりと語っていただきました!!


――『コンフィデンスマンJP』は、通常よりも早く、昨年から撮影がスタートしています。実際に現場に臨まれて感じたことは?

 普通ですと、オンエアをチェックしながら軌道修正すべきかどうか考えたり、手ごたえを感じながら次に臨んだりすることが出来るんですけど、今回はそうではないので「大丈夫なのかな?」「いま、どこやってるのかな?」みたいな感じはありました。撮影する順番も入れ替わったりしていましたので、実はつい先日、五十嵐の初登場のシーンを撮ったんです。急に「初めまして」みたいな芝居に切り替わる感じが面白かったです(笑)。

――脚本を読んでの印象は?

古沢良太さんの脚本は大変面白くて、読んでいるだけでワクワクして、「次、どうなるんだろう?」と純粋に楽しんでいました。役者としてはそれがプレッシャーにもなるんですけど、「そっちがそうくるなら、(役者は)こうやってやろう」みたいなせめぎあいが生まれてどんどん面白さが濃くなっていくような感じもあって、演じていても楽しかったですね。演者同士お互いに「えっ、次そんな恰好するんだ!?」っていうことが現場でわかったりもして面白かったです。撮り順がバラバラだったりするので、急にそういう格好で現れると、「あれ!?」みたいなことが頻繁に起きるんです(笑)。ただ、いわゆる“コン・ゲーム”という騙し合いが話の中心で、頭脳戦というか、騙し・騙されという知恵を使うものではあるんですけど、だからといって決して難しすぎることもなく、シンプルに楽しめるところが新しい感じがしました。1話完結ですから、引きずることもなく(笑)。僕らもそれぞれ素性がわかないまま、でも深入りすることもなく話が進行していくのも面白かったです。普通だと、役作りで、「この人との関係はこう深まっていき、そこに至る以前にこういう生い立ちがあり、馴れ初めがあり……」ということから人物像を想像していくわけですけど、今回に関しては、そういうものを捨ててというか、その場その場の即興性に近いというか、何か“騙す役を演じる役”というか、構造が複雑で。前提とか、バックグラウンドに囚われずに、その場を真剣にやっている、という意味ではちょっと演劇に近いような感覚もありました。僕も、どちらかと言えば演劇のお仕事の方が多かったので、それが凄くやり易いというか……。

――コンフィデンスマンの五十嵐というキャラクターを演じるにあたって、制作サイドから何かリクエストはありましたか?

 特になかったです(笑)。だから僕も、「どうしようか?」と思う部分はあったんですけど、僕がインした時のシーンが、すでに五十嵐が誰かを演じている、という状況だったんです。猫ノ目八郎さんという胡散臭いおっさんを最初に撮ったんですね。その時点で「五十嵐って何なのか?」というのは、どなたの頭の中にもなくて、ちょっとフワッとした存在だったんです(笑)。僕も、“猫ノ目さんを演じる五十嵐”というのを想像しなきゃいけないんですけど、まだその段階では初登場シーンの決定稿もなかったので、想像するしかなかったんです。普通だとベースの五十嵐というキャラクターがあって、そいつが誰かを騙すために何かの役になる、ということになるので、ふたつ乗っかるわけですけど、そのベースとなる前提がないので、逆に誰かを騙すときのお芝居をしているときは、本当にそのキャラクターとしてその空間にいるというか、騙すキャラクターをただ演じるということを念頭に置きました。だから、五十嵐に戻るときはよりキャラクターを盛ろうかな、と思いまして、ダンディーでキザな感じにしました。僕のビジュアルとはかけ離れたというか、「お前が言うなよ!」っていうくらいのダンディズムを背負っていこうと(笑)。衣装合わせのときも、小日向文世さんが演じるリチャードが英国紳士風なら、五十嵐はイタリアじゃないか、と(笑)。最初に五十嵐のベースを決める衣装合わせのときは本当にいろいろな服を着たんです。革ジャンにGパンとか。でも「何かちょっと違うな……」と思って、雑誌の『LEON』を丸パクリしているようなヤツ、みたいな、「この人になりたいデブ」みたいな感じで決めていったら、声もより低く渋くなり……痩せればもっと似合うのにそれを無視してカッコいいと思いこんじゃっているヤツ、みたいな感じになりました。そういう意味では、言い方は悪いですけど中身はないですね(笑)。

――そういう感じもこの『コンフィデンスマンJP』というドラマには合っているような気がしてくるから不思議です。

 そうなんです。「中身がない」ということが、逆に「中身を想像させる」ということに繋がっているのかな、と。僕は2話から“第4の男”ということでダー子(長澤まさみ)たちと合流したわけですけど、ダー子とボクちゃん(東出昌大)は元々知り合いで、とか、リチャードはこういう人、というのも間接的にしかわかっていなくて、逆にそれ以上深入りしないようにしている、というポジションは、劇中もそうですけど、普段役について話すときも同じで、あまり深く聞かないようにしているんです。「目の前で起こっていることをそのまま受け取る人にしよう」と思って、出来るだけ「中身がない」感じで現場にいるようにしようと思って。

ダー子を演じるのは長澤さん以外考えられない

――長澤さんたちと共演されたことは?

 長澤さんと小日向さんは、『真田丸』でご一緒させていただいたんですけど、同じシーンはなかったので、打ち上げでご挨拶させてもらった程度なんですけど、その後、三谷幸喜さんのつながりで『子供の事情』(作・演出/三谷幸喜)という舞台を見に来てくださって。だから、「ああ、あの役をやってた人ね」「馬の骨にしては割と強度のある馬の骨なんだな」くらいの認識はしてくれていたと思います(笑)。東出さんとは、昔、東出さんが出演されていたCMのナレーションを僕がやったので、勝手に一緒にお仕事をしたという認識なんですけど、とにかくみなさんとお芝居をするというのは初めてなんです。

――長澤さんとお芝居をされてみての印象は?

主張することもできるけど、引くこともできる、という、とてもフレキシブルな方だと思います。「私はこうしたい」「私の演技はこうだ!」と突き進む方もいらっしゃるんですけど、長澤さんは周りの意見を聞いて、「じゃあここはやめておく」といってスッと引いたりする。演技に対して視野が広い上に柔軟性もあって、しかも即興性もあるので、何か仕掛けていくとちゃんと乗っかってくれるんです。特に僕は、ダー子さんにホレている、
という設定なので、所々でちょっかいを出しに行くんですけど、それをいなす感じとかもいろんなパターンで対応してくれるんです。僕なんかにも相談してくれたりもするので、偉そうな言い方になってしまいますけど、信頼の置ける方です。

――天真爛漫でぶっ飛んでいるダー子のキャラクターは最高ですよね。

 僕も、ダー子を演じるのは長澤さん以外考えられない、というくらいハマっています(笑)。ダー子たちと4人のシーンも多いんですけど、遠からず近からず、という空気感も心地良いんです。劇中の人間関係に近い前室(スタジオの控え室)の風景だったりもするので、凄くやり易い現場だと思います。

いかに爪痕を残せるか、というのが至上命題だと思って頑張っています

――東出さん、小日向さんについてもお願いします。

 東出さんは、とても真面目でストイックな方で……。多分、今回のボクちゃんという役は凄く難しいと思うんです。言ってしまえばツッコミで、巻き込まれ型なので。全部にツッコんでいかないといけないので劇中でもよくキレているんですけど、そのキレ方も変えていかないと一本調子になってしまうとか、僕らもいろいろと仕掛けていくので、割と吹いてしまうような場面もあるんですけどそれをどこまで我慢するか、とか、いろいろなものを強いられていても、そのひとつひとつに本当に真剣に取り組まれていて。一度、カメラテストが終わって間が空いたときに、東出さんがフーッと息をついて、「みんな、芝居上手いなぁ」って言ったんです。確かに、長澤さんも小日向さんも、もちろん東出さんもお上手で、白熱した騙しのシーン……例えば、あるゲストの方と長澤さんが対峙して泣くお芝居をしていて、それを小日向さんが山形弁混じりで慰めるという良いシーンがあったんですけど、それを見ながら、「あれ、俺ら何のドラマ撮っているんだっけ?」みたいになる現象が多々発生しているんです。それは、シーンごとにみなさんが良いお芝居をされている証拠でもあると思うんですけど、トータルで考えてみると「何でいま、合戦シーンを撮ってるんだ?」「何で山を掘っているんだ?」「何でこんな遠くまで連れてこられてバスケをしているんだ?」みたいにわからなくなることも多いんです(笑)。小日向さんも「こんな大変な現場なかなかない!」とおっしゃっていたんですけど、とにかく現場の熱量が凄いんです。小日向さんはベテランですし、あらゆる引き出しを持っている方ですけど、この座組みの中ではムードメーカーなんですね。みんなを楽しく引っ張ってくれているんです。大変な現場なんですけど、小日向さんが「今回、このカツラでどうかな?」なんて言いながら楽しそうにされていると、僕らも嬉しくなるんです。年齢的には小日向さんが一番上で、その20歳下が僕なんです。で、僕の14歳下が長澤さんと東出さんなので、年齢のバランス的にもちょうど良いといいますか、それぞれが10年以上のギャップを持っていますけど、適度なジェネレーションギャップと、適度な距離感もリスペクトに繋がっている感じがして楽しくいられるんです。大変ですけど、4人でバランス良く……まあ、そういうみなさんの中に僕が入れていただいているだけで奇跡なんですけどね。日々感謝しています。

――そこにゲストの方々が加わると、またカラーも変わりますよね。

 そこも面白いですよね。毎回、違う方がいらっしゃって、それによって現場の空気がちょっと変わったりしますからね。ホストとしてゲストを迎える、という気持ちもちょっとだけあるんですけど、ゲストの方によって話のテイストも変わるので、それがまた一層頭を混乱させるんですけど。1話1話が高カロリーなドラマですからね(笑)。その1話を切り取ってワンクールやれる、と思うくらいの濃度はありますからね。それをあっさり1話で見せていく、という潔さとテンポ感は本当に素晴らしいと思います。騙す話ですけど決してイヤな話ではないですし、爽快感がありますから。勧善懲悪ではないかもしれないですけど、見終わった後に良いものをお土産として残せるお話だと思います。

――最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

 僕は今回、大抜擢みたいなものなので、いかに爪痕を残せるか、というのが至上命題だと思って頑張っています。今回の物語は、みなさんがいろいろな扮装をされるというところが見どころのひとつだと思うんですけど、実は僕はあまり変わらないんです。みなさんはカラコンを使ったり、見たことがないカツラをかぶったりされているんですけど、僕はキャップだけとか、ちょっとおっさんっぽいカッコになるだけでフェイスはこのまま、という感じだったので、いかにこのフェイスのままで、溶け込みつつ、ある意味溶け込まないでいられるか、というのが多分、僕の挑戦だと思います。台本上でも、「いつの間にか五十嵐が」みたいな感じなので、視聴者の方もきっと「あいつ誰なんだ?」と思うと思うんです。まあ、小手伸也という名前は憶えていただかなくてもいいので、毎回、「誰なんだ?」と引っかかっていただければと思っています(笑)。


実は小手さんにとって“月9”出演は、あの名作ドラマ『HERO』(2001年)に続いて17年ぶり2度目のこと。『HERO』第1話の冒頭に、アナウンサー役で出演して以来のフジテレビドラマ出演なのです。「久しぶりの月9でありながら急にレギュラーなので、振り幅が大きすぎて戸惑っていますけど、僕としては“月9”に帰ってきた、くらいの強い気持ちで(笑)」とご自身もおっしゃっていましたが、ダー子たちとともにこの先もさまざまなキャラクターに成りすまして登場する神出鬼没な男・五十嵐にも、是非ご注目ください!!


小手伸也さんプロフィール
1973年12月25日生。神奈川県出身。B型。【特技】アイスホッケー(GK 経験4年)・心理学・神話研究(古事記)・デザイン(HP作成など)。【略歴】早稲田大学卒。劇団innerchildを主宰。作家・演出家・俳優を兼ねる。 PFFスカラシップ作品映画「不灯港」では主演を務め、海外でも高い評価を受けている。

番組情報

<タイトル>
『コンフィデンスマンJP』
<放送日時>
毎週(月)21時~21時54分放送中
<出演者>
長澤まさみ
東出昌大
小日向文世

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。