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2018.02.23更新

「アリタさんは天才です」解説員・出口保行先生に聞く【全力!脱力タイムズ】

「綿密。用意周到。犯罪者だったらプロ」

独自の視点でニュースを取り上げ、予想もつかぬ展開でゲストコメンテーターの芸人を翻弄する『全力!脱力タイムズ』。メインキャスター・アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)と共に、番組を支えるのが有識者たちによる「全力解説員」だ。

その素顔を探るため、今回は犯罪心理学者の出口保行先生に話を聞きました。昨年12月、視聴者に衝撃を与えた「ブルゾン出口」の裏側も聞いています!

当日知らされた「ブルゾン出口」

――出口先生は『脱力タイムズ』に特番時代から出演されていますが、番組がここまで続くことは想定されていましたか?

出口 いや、全く想定してないです(笑) 確かに新しい感じの番組だけど、毎回やることが違うから、どうやって続けていくのかイメージできませんでしたね。予定調和が全く無い番組ですから。

――予定調和が無いという意味では……先日の「ブルゾン出口」も衝撃的でした。

出口 やってるほうも衝撃的ですよ。気絶するぐらい。

(※2017年12月1日放送。「2017年の顔」を紹介するなか、吉川先生、出口先生、ゲストの小関裕太と3人で「ブルゾンちえみ withB」のネタをやる流れに。カーテンが開くと、そこにはブルゾンちえみの衣装に身を包んだ出口先生が。ネタの第一声は「どうも、刑務所での豊富な経験、流暢な解説。犯罪心理学者です」だった)

――あのオファーが来たときは、悩まれましたか……?

出口 いや、あんな風にやるとは何も聞いてませんから。「誰かがやるかもしれないので、(ブルゾンちえみの)振りだけ見ておいてくださいね」って言われて、自分がやるとは夢にも思ってなかった。そしたら当日「スタジオリハがあります」と。スタジオリハがあるということは、何か歌わせられたり、踊らされたりするんですよ。基本スタジオリハがあるときはヤバい(笑)。

――じゃぁそこで初めて自分がブルゾンちえみをやると。

出口 そうそう。吉川先生もいるし僕はwithBだろうな、まぁいっか、と思ってたら「先生がやるんです」と。で、スタジオリハが終わると、本番までスタジオから外に出られない仕組みが作ってある。楽屋に戻ると「やっぱり嫌だ」って言われたとき困るから。もうすごいよ。綿密。用意周到。犯罪者だったらプロだよ。

……でもそこで終わらないんですよ。もうひとつ何が驚いたって、本番中に着替えさせられたこと。

――え!それまで衣装の話もなかったんですか!?

出口 なんにも知らない。収録中にセットの裏に回ったら、カツラが待ってる、スカートが待ってる……。何これ?って聞いたら「着替えてください」。……もうこれね、覚悟の問題ですよ。「嫌だ」って言ったら収録止めることになるし、もう行くしかないと。中途半端なことやってもしょうがないんでね。

「お笑いの血」が流れている?

――そういえば吉川先生からお聞きしたんですが、出口先生は三遊亭小遊三師匠とご親戚だとか……?

出口 叔父なんですよ。向こうは30年以上笑点メンバーをやってますけど、まさか甥がテレビに出るとは思ってなかったでしょうね。法務省の職員で、官僚だったわけだから。小遊三からもよく連絡が来ますよ。「あれ見たぞ」「面白いね」って。

――吉川先生は「やはり出口先生にはお笑いの血が流れてるんですね」と言ってました。

出口 嫌な血だなぁ(笑)、でも血は争えないんでしょうね。

――衣装が置いてあったら覚悟を決めるわけですから……。

出口 そうだよね、怖い怖い(笑)。もうね、この番組じゃなきゃ挑戦できないことばかりやってますよ。犯罪心理学者が食レポなんて、普通やるわけないんですから(笑)。

ここのスタッフにいつも言うんですけど、以前、2分のオンエアのために8時間も漁船に乗ったんですよ。8時間ですよ!? その日は大学にスタッフの車が迎えに来て、千葉の港まで行って、夜出港して朝6時に港に戻り、市場で水揚げしたりで朝7時にロケが終わったのかな。そのまま大学まで送ってもらって、その日はゼミと教授会ですよ。

――漁船明けで教授会ですか……!

出口 しかも私は学部長だから、教授会を全部仕切らないといけない。で、教授会が終わったらまた車が待ってて、今度は十条の焼肉屋の食レポ。漁船、ゼミ、教授会、焼肉だよ。死ぬかと思った。

でも、普通の学者をやってたらこんな経験は絶対できないですからね。自分の可能性みたいなものを引っ張り出してもらえるのは、怖くもあり、楽しみでもあり……とは言え、ブルゾンちえみをまたやりたいとは思いませんけど(笑)。

アリタ哲平は「天才だと思いますね」

――番組に出ることで、本業の方に影響はありますか?

出口 いい影響のほうが大きいです。いま、内閣府での基調講演など、全国に防犯を啓蒙する活動をメインでやっているんですよ。この番組で私の名前が出ることによって、興味を持った方が講演に来てくれる。しかも、中学生から60代70代まで幅広い年齢層の方が「脱力タイムズ見てます」と言ってくれます。防犯は全ての世代にきちんと広めることが重要ですから、番組出演は役に立っているんですよ。犯罪心理学者として、とてもありがたいですね。

――その犯罪心理学者の出口先生から見て、キャスターのアリタさんはどんな人に映りますか?

出口 やっぱり彼は天才だと思いますね。「予定調和を許さない」というスタンスが非常に強い人。たとえ収録当日でも、ちょっとでも予定調和を感じたら「ここ全部変えよう」って提案して、いくらでも流れが変わっちゃう。とにかく予想を超えてきて、それでも最後はきちんと収まるんだから、毎回感動しますよ。

全体を貫く一本の筋だけではなく、そこから支線がどう分かれていくかを常に考えているんでしょうね。引き出しの多さを感じるし、どの場面でどの引き出しを開けるかも計算している。素晴らしいと思いますよ。予定調和を崩すことを徹底しているからこそ、これだけ番組が続いているんじゃないでしょうか。

――ゲストや解説員の皆さんも、その流れについていくのは大変ですよね。

出口 そうなんですよ。ゲストの芸人さんは台本を知らないし、解説員も自分が何か仕掛けられるときは何も知らない。お互いに状況を読みながら、あうんの呼吸で作っていかないといけない。他の先生もゲストの方も、みんなすごいですよね。

――出口先生も、そんな高度なことをもう4年近くやられているわけですから……。

出口 まぁ……だから、血じゃないですか? 血。嫌ですけど(笑)。

取材・文=井上マサキ

番組情報

『全力!脱力タイムズ』
<放送>
毎週金曜日 23時~
<出演>
【メインキャスター】
アリタ哲平(くりぃむしちゅー 有田哲平)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。