2017.11.25更新
芸人たちが大喜利で戦い、チャンピオンの座を奪い合う『IPPONグランプリ』。練り込んだネタとも違い、大喜利は瞬発力で笑いのセンスが試されるもの。スピードと爆発力で観るものをひきつけ、今回で18回目を迎える。
今回の出場者は、バカリズムをはじめ、若林正恭(オードリー)、秋山竜次(ロバート)、千原ジュニア、川島明(麒麟)、堀内健(ネプチューン)、中岡創一(ロッチ)、礼二(中川家)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、石田たくみ(カミナリ)の10名。
このうち優勝経験者は6名(バカリ、若林、秋山、ジュニア、川島、堀内)。最後に優勝した時点から最も遠ざかっているのは、意外にもバカリズムだ。17回という最多出場記録を持ち、決勝戦には7回も駒を進めているが、最後に優勝したのは2011年6月のこと。サドンデスで何度も競り負けているうちに、もう6年が経ってしまった。
もう一人、しばらく優勝から遠ざかっているのが堀内健。「魔法使いが覚えたけど、結局使わない魔法とは?」というお題に「指をパチンとやると空から刻みのりが降ってくる」と答えるなど、他の追随を許さないホリケンワールドを繰り広げてきたが、最後に優勝したのは約4年前の2013年5月。前回(2017年5月)は千原ジュニアが5年ぶりに優勝しており、バカリズム共々この返り咲きの波に乗ることができるか。
初出場となるのは礼二、柴田、たくみの3人。3人とも大喜利のイメージはそれほど濃くはないが、漫才だけでなく即興のモノマネを得意とする礼二や、どんなボケでも縦横無尽にツッコむ柴田、「おめぇ○○だな!」のフレーズで必ず落とすたくみと、瞬発力は十分なメンバー。新たな風が吹くことを期待したい。
今回、幸運にもスタジオ収録に立ち会う機会に恵まれた。テレビでお馴染みのセットも、実際に目の当たりにするとその迫力に圧倒される。出演者が背にする巨大なスクリーンや、客席の上をまたぐ黄色いアーチ、画面ではあまりじっくりと映らないが、ステージ横の獅子やユニコーンの像も鋭い眼光で出演者たちを見下ろしている。
印象的だったのは客席の近さだ。プレイヤー側と審査側に挟まれたエリアに座る観覧者は約70名おり、プレイヤーたちを近距離から見つめている。笑い声や拍手はもちろん、IPPONを取った時の歓声や、惜しかった時の「ア~!」などがダイレクトに響き渡る。「写真で一言ルーレット」では、ルーレットを止めて回答を言うまでの静寂に張り詰めた緊張を感じた。テレビで観た印象より「ライブ感」がとても強いのだ。
また、オンエアではAブロックが終わったあと、松本人志チェアマンが視聴者からの回答を紹介する「CHAIRMAN's EYE」が挟まれ、Bブロックが始まる。しかし収録現場では、「CHAIRMAN's EYE」はBブロックと決勝戦の間にまとめて収録されており、AブロックとBブロックは続けて実施されていた。これも現場のテンションを保ち、「ライブ感」を維持する意図があるのかもしれない。
もう一つ印象的だったのは、松本チェアマンが座っている場所。試合を見守りながらコメントをしている松本チェアマン。モニタで観戦しているようだが、一体どこで見ているのだろうと思っていた。
スタジオに行ってみると、観覧ゲストが座る席の後ろに、黒い壁で覆われたやぐらが組まれており、階段を登った2階部分で松本チェアマンの収録が行われていた。試合進行と同時に、同じスタジオ内でコメントを発していたのだ。松本チェアマンが背にしている窓にはセットがチラリと映っているが、あれも実際のスタジオの光景である。
芸人たちが観客の目の前でしのぎを削り、その気配を共有しながら松本人志が解説する。生み出された場の空気は編集によりパッケージされ、お茶の間に届けられる。連打されるボタンの響き、面白い回答が続いた時の高揚、決勝戦の緊張感など、『IPPONグランプリ』の空気を端々から感じ取れるように。
収録ではAブロック・Bブロック共に、決勝進出を決める第4問ではボタンを連打する音が鳴り止まないデッドヒートとなった。激戦を制し、18回目のチャンピオンとなるのは一体誰なのか? 放送をお楽しみに。
文=井上マサキ
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