Muscat~フジテレビの番組情報

2017.06.23更新

『ナゾトレ』『潜在能力』『金の正解』お茶の間をひとつにするクイズの力

「知識不要」のクイズ番組3つを解説

クイズ番組には「『わからない』を楽しむ」と「『わかる』を楽しむ」の、2つの楽しみ方がある。

前者は難問を軽々と正解する解答者たちをアスリートのように観戦する楽しみ方。かつては『FNS1億2,000万人のクイズ王決定戦!』(フジテレビ)等で活躍したクイズ王たちや、『カルトQ』(フジテレビ)で知識の深さを競ったマニアたちに驚いたもの。現在であれば、『Qさま!』(テレビ朝日)や『東大王』(TBS)で高学歴の解答者たちがしのぎを削っている。

対して後者の番組は、特別な知識を必要とせずとも正解にたどり着ける問題を指す。『マジカル頭脳パワー!』(日本テレビ)のように発想力を問うもの、『クイズ!やさしいね』(フジテレビ)のように想像力を問うものなど形式は様々ある。

こうした「難問」と「知識不要」を両立させているのが『今夜はナゾトレ』だ。番組では「現役東大生が作った小学生でも解けるナゾ」が人気コーナーになり、書籍化されるまでになっている。

高学歴が作るちょうどいいパズル『今夜はナゾトレ』

「謎を解きながら脳トレ」を謳う『今夜はナゾトレ』では、「日本を代表する『ナゾ』クリエイター」たちが問題を提供。京都大学のパズル研究家・東田大志考案の漢字パズルや、直木賞作家・道尾秀介が作るミステリークイズ、マジシャン集団「ROUTE13」がCGを使わずにVTR内の風景を変化させるリアル間違い探しなど。趣向を凝らした「ナゾ」は、どれも特別な知識を必要としないものばかりだ。

先に挙げた「小学生でも解けるナゾ」を作るのは、東京大学で謎解きイベントを主催する制作集団「AnotherVision」のメンバー。「小学生でも解ける」と銘打たれているが、ノーヒントでは大人でも首をひねるほどの難易度。しかし「有名進学塾に通う小学生の正解率(意外と高い……)」が横に表示されており、ならば……と、どうしても解きたくなってしまう。高学歴だからこそ難易度の調節も巧みに設定されているのだ。

番組は上田晋也がMCを務め、有田哲平、タカアンドトシ、柳原可奈子がレギュラーチームとして問題に答える。この5人は2007年に始まった『ペケ×ポン』(フジテレビ)を皮切りに『ペケポンプラス』『そこホメ?』と番組名を変えながら10年間共演しているメンバー。相手チームの宇治原史規(ロザン)、藤本淳史(田端藤本)といった高学歴芸人を共におちょくったと思えば、有田と揉めたトシが相手チームに寝返るなどプロレス的な展開もある。勝手知ったる仲でのチームプレイも見どころだ。

芸能人の意外な「能力」に驚く『潜在能力テスト』

『今夜はナゾトレ』が「ナゾ」で脳をトレーニングする一方、『潜在能力テスト』(フジテレビ)はクイズで秘められた能力を測定する。「日常観察力」など6つの能力に関する問題が出題され、例えば「動体視力」ではカップに入ったボールがどこにシャッフルされたかを見極め、「記憶力」では回転寿司のレーンに流れる寿司ネタが何種類あるかを覚える。ただクイズを出題されるより「能力」を確かめられると思うと前のめりで集中してしまう。

MCは若林正恭(オードリー)と宮司愛海アナ。解答者はベテランから若手まで揃った14人の芸能人。スポーツのイメージが無い小宮浩信(三四郎)は、抜群の動体視力を見せてスタジオをどよめかせ、通常のクイズ番組ではポンコツな武田修宏は、超難問の間違い探しを当て「注意力」でトップに輝いた。意外な人物が意外な才能を見せるのも面白い。

ちなみに、解答席にはレバーがあり、正解者がレバーを引くとセット中央の「脳」に潜在能力(ボール)が溜まる仕組みになっている。溜まったボールは番組のエンディングで「潜在能力大開放~!」とスタジオ内に発射し、出演者たちの頭上に降り注ぐ。かつて『IQサプリ』(フジテレビ)のエンディングで、「もやっとボール」がMCの伊東四朗の頭に降り注いでいたのを思い出す。正解して溜める潜在能力と異なり、もやっとボールは問題に対する不満を溜めたものだった。

森には森のルールがある『クイズ!金の正解!銀の正解!』

そんな「問題に対する不満」も織り込み済みなのが『金の正解!銀の正解!』だろう。1つの問題に3つの答えが仕込まれており、誰でもわかる答えが「鉄の正解」、ひらめけばわかる答えが「銀の正解」、かなりひねらないといけない答えが「金の正解」となっている。

出題後は、鉄~金まで全ての正解が出るまで問題が続くのだが、「金の正解」は解答者も視聴者もノーヒントではなかなかたどり着かない。「今」を「ヘラ」と読ませたり、「ふた」「木」「つの」の3つの写真から「ふた つの 木」→「2つの木」→「林」と読ませたり、かなりこじつけたものある。

「こんなのわからないよ!」と嘆くのもしばしばだが、番組を何度か見ると傾向がつかめてくる。スタジオセットは森の中の泉がモチーフになっていて、泉には神様(声:片桐仁)がいる。森には森のルールがあり、『金の正解!銀の正解!』には番組だけに通じる「考え方」があるのだ。固定観念にとらわれず、どれだけ「他者のルール」に迎合できるか、という能力も神様に試されているのかもしれない。


知識を元にしたクイズは明確な答えが用意されているが、パズルやとんちを元にした問題は答えに納得できずモヤモヤすることもある。誰かと一緒に番組を見ていれば、そのモヤモヤすらも共有できるはずだ。「わかった!」も「わかんねぇよ!」も共感のひとつ。クイズ番組にはお茶の間をひとつにする力がある。

文=井上マサキ

番組情報

『今夜はナゾトレ』
<放送>
7月4日(火)19時~20時54分
<出演>
くりぃむしちゅー
タカアンドトシ
柳原可奈子
『潜在能力テスト~新ジャンルも続々!脳を刺激する3時間SP~』
<放送>
6月27日(火)19時~21時54分
<出演>
【MC】
若林正恭(オードリー)
宮司愛海(フジテレビアナウンサー)
『クイズ!金の正解!銀の正解!SP』
<放送>
7月8日(土)19時~20時54分
<出演>
【神様】
片桐仁

【MC】
加藤綾子
榎並大二郎(フジテレビアナウンサー)

【レギュラー解答者】
的場浩司
吉村崇(平成ノブシコブシ)
石川恋

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。