2017.04.08更新
毎週日曜7時放送、日本のトップランナー3人が集い、さまざまなトピックで繰り広げられるトーク番組『ボクらの時代』。ロケ現場となるのは、ゲストに縁のあるお店や、一度は訪れてみたい人気店。前回紹介した「テラスがまるで海外のようなカフェ3選」につづき、今回は、足繁く通う人も多いという東京・老舗居酒屋3選を紹介します!
まずはミックス焼き鳥(4本)とビールで。串ものは各80円と値段も良心的
創業昭和3年、総本店、公園店、北口店と、吉祥寺に3店舗をかまえる「いせや」。吉祥寺駅南口から歩いて数分、軒先に掛かった赤提灯が目印の「いせや総本店」は、大通りに面した2階建ての佇まい。そこには、焼き鳥を焼く威勢のいい店員さんたちと常連客の楽しい会話が飛び交う光景が広がっています!
カウンター席は店員さんとの会話も楽しめる
「昔は、昼から開いているお店が珍しかった。今は家族連れも多いですね、ランチがてらくるお客さんもいれば、最近は女性のお客さんも増えたね~」と話す店主。「去年の暮れには『国分太一のおさんぽジャパン』(フジ系列)でリーダーの城島さんと国分さんがきてたよ~」「中村獅童さんもよく来てね、よく飲んでたよ~」とポロっと話してくれました。
定番の焼き鳥。(左から)はつ、ひなどり、レバー、しろ。ビールはサッポロ
やはりいせやに来たからには、焼き鳥に若どりのももやき、自家製シューマイといった人気メニューを頼むのがおすすめ! 総本店には「日替わり」メニューも存在。「今日はさばの味噌煮。毎日来る常連さんは日替わり目当てできてくれますね」と何が出てくるかはお楽しみ!
居合わせた30代風のお客さんに声をかけてみると、「年上の常連さんと色んな話ができるのが楽しくて、最近通うようになったんですよ」と人生の先輩とたわいもないトークを楽しめるのは老舗ならで。こうして次の世代に受け継がれていく魅力が「いせや」にはありました!
外観
アンティーク調の大きな照明はお店のポイント。イスはマンボウのデザインが施されたオリジナル
「移動カメラが2台、手持ちカメラが3台くらいかな。ここにレール引いて、このランプも映してもらってまるでうちのCMみたいだったよ(笑)」と話してくれたのは、浪曼房のオーナー。かねてからの常連だった古田さん、大倉さん、野田さん。「あの時は盛り上がっていたからね~お酒を飲みながら2時間以上喋ってたんじゃないかな。今でも古田さんはよく来てくれますよ」「野田さんが“今日は浪曼房で飲むぞー”って仲間に声をかけていたっていう話を聞いたときは嬉しかったですね」というように、浪曼房は役者や映画関係者に慕われているのです。
同じく新宿にあり、ロケに良く使われる「池林房」も系列店のひとつ。いまでは大御所の古田さんも東京に来た頃はよくここで、知り合いでもなんでも声をかけて自分を売り込んでいたとか。
創業31年の浪曼房の店内は、ケヤキの無垢をふんだんに使った丈夫な造り。いつ訪れても変わらない安心感を与えてくれるのは木造のぬくもりならでは。懐かしさを求めて帰るお店。それが浪曼房に多くの人々が惹きつけられる理由になっているんですね。
(左上から時計回りに)エビとセロリのタイ風サラダ、牡蠣のバターソテー、合鴨の和風ロースト
料理はすべて手作りのオリジナル。酒飲みが好む渋いメニューが多いという浪曼房は、和洋折衷揃い、全部で70~80種類。いつ誰が来ても食欲を満たしてくれるようなラインナップなのです。
ワインは約30種類、日本酒は20種類、焼酎も20種類、女性でも飲みやすいものや季節限定酒なんかを入れているそう。「結構お客さんがのん兵衛なんでね」と笑いながら話してくれたように、酒好きが好む雰囲気がどことなく漂います。
「浪曼房は、突然流行るようなお店ではないけれど、パンのイースト菌のように徐々にお客の和が広まっていく、息子が飲んでいたら、後でおやじがやってきて一緒に飲むなんてこともあるよ」と。世代を超え愛され続けるお店が浪曼房なのです。
外観
山小屋のような渋い店内の1Fにはカウンターがありひとり酒するにもぴったり
ロシア西部を流れる「ヴォルガ川」が由来、先代が名前をつけたという老舗居酒屋「ぼるが」は今から約70年も前に、新宿思い出横丁にお店をかまえたのがはじまり。昭和33年に、区画整理を理由に新宿西口に移転。それからは建物を変えることなく今なお昭和の面影を残しながら営業する、知る人ぞ知る名店なのです!
「お客さんに“三代目”がでてきたんですよね。父に連れてこられたという50代、60代の方が息子や娘を連れていらっしゃるんですよ。それがすごく嬉しいですね」と話してくれたのは、「ぼるが」の三代目店主。
高田純次さんが、サラリーマンを辞め俳優になることを決意したのが「ぼるが」だそう。
こちらが収録で3人が座った席(2F)
柄本明さんも昔からの常連。収録は2階にある囲炉裏風の席で。駆け出しのころの懐かしいトークで盛り上がっていたそう。
焼き鳥を焼く年季の入った手はまさに職人
定番のやきとん、海老を添えたヘルシーな「ねぎぬた」に、千切りにした大和芋の上にホウキグサの実と卵をのせた「とんぶり」。この「とんぶり」は、故・山本薩夫映画監督が、地方をよくまわっていたときに見つけた東北名物で、お店で出さないかと先代にもちかけたのがきっかけでメニューになったそうです。
このセットは通の頼み方。すべて500円
「昔の炭酸は今より強くて美味しかったんですよ~」と、キンミヤ焼酎を炭酸で割り、スライスレモンを入れた「酎ハイ」をだしてくれました。今や馴染みのあるキンミヤ焼酎ですが、当時の東京では全くの無名焼酎。三重県から売りに来ていた酒屋から先代が買いつけたのがはじまりだそう。
お店が長く続く秘訣は? との問いに、「おおげさなことじゃなくてただ続けてきただけなんです」と謙遜して語った店主。「いまの時代から考えると(ぼるがは)不便な場所ですが、昭和の匂いというか、昭和の名残があるので、その雰囲気を味わってもらいたいのが一番ですね。それこそイスもテーブルも当時の高さなので、今の人にとってはすごく低いじゃないですか、その不便さも味わいというか、それでもよければ」という心づかいにも、後を引く魅力があるぼるがなのです。
取材・文○中川寛子
撮影○内海裕之
掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。