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ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ

■INTRODUCTION
2009年は太宰生誕100年の太宰YEAR!
時代が変わっても人々を惹きつける太宰文学。閉塞感のある今だからこそ、前向きな女性を描く傑作短編小説「ヴィヨンの妻」を映像化する!

数々の名作が今も人々に愛され続け、2009年に生誕100年を迎える太宰治(1909〜1948)。本好きの人ならば、一度は太宰の本を手にしたことがあるはずです。そうでなくても「走れメロス」などの作品を教科書で読んだという人を含めれば、大多数の日本人が太宰治の文学に親しんでいると言えるでしょう。「人間失格」は新潮文庫だけで累計600万部を売上げるロングセラー作品。何故、太宰がこれだけ愛されるのでしょうか?それは、どの時代の人も、太宰が描く“人間”の苦悩に共感し、魂を揺さぶられるからなのでしょう。退廃的でデカダンなイメージの一方、太宰文学の特徴として挙げられるのが、<細やかな女性の心理描写>や<皮肉とユーモアに溢れた表現>です。ひときわその才能を感じられるのが、「ヴィヨンの妻」です(「ヴィヨン」とは高い学識を持ちながら悪事に加わり、逃亡・入獄・放浪の生活を送ったフランス中世末期の近代詩の先駆者フランソワ・ヴィヨンのこと)。太宰の弟子・小山潔は「私はこの作品を読むたびに、いつもホッとして、重荷が下りたような気持ちになる。そして生きて行く勇気を与えられる」と評しています。混沌の中にあっても、明るくたくましく主人公の女性の姿は、読む人に爽快感を与えます。閉塞感のある今だからこそ、太宰の傑作短編小説「ヴィヨンの妻」が人々に“生きる希望”を与えることができるのではないでしょうか。

主人公・佐知に、「ラブジェネレーション」「HERO」など高視聴率ドラマ、そして『隠し剣 鬼の爪』『THE 有頂天ホテル』『HERO』など話題の映画に出演し、舞台でも存在感のある演技を見せつけ、多彩な輝きを放ち続ける女優・松たか子。自由奔放な小説家の夫に振り回されながらも、懸命に生きる妻を明るく演じます。満を持しての長編映画初主演。スクリーン初の妻役で新境地を見せてくれることでしょう。夫・大谷役に、日本映画を牽引し続け、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『モンゴル』に主演するなど国際的に活躍する浅野忠信。無頼で放蕩、まさに太宰を彷彿させる大谷を繊細かつ大胆に演じます。さらに、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一ら豪華実力派俳優が顔を揃いました。

■STORY
戦後、混乱期の東京—。

ある夜、酒代を踏み倒した上に、その飲み屋から五千円という大金を盗んで逃げ出した放蕩者の小説家・大谷(浅野忠信)を追いかけて、飲み屋夫婦の吉蔵(伊武雅刀)と巳代が営む(室井滋)が大谷の自宅までやってきた。夫・大谷と飲み屋夫婦の言い争いに、妻の佐知(松たか子)が割って入った瞬間、大谷はその場から逃げ出してしまう。

翌朝、佐知はなんとか警察沙汰だけは許してもらおうと、吉蔵と巳代が営む飲み屋・椿屋へ出向く。そこで、思いがけず「お金は私が綺麗におかえし出来そうです」と明るく言い切ってしまう。窮地にあっても不思議な生命力を発する佐知。夫が踏み倒した過去の酒代の肩代わりに、佐知はその日から椿屋で働くことになる。水を得た魚のように、生き生きと働く佐知。佐知の美しさ、明るさに惹かれて、椿屋はお客でいっぱいになる。お客からチップをもらった佐知は、自分に魅力があることに気付き、あっけらかんと「私、お金になるんですね」と言い放つ。外の世界に出て、佐知はどんどん輝きを増していった。

大谷は、お酒を飲み歩き、借金を作り、浮気を繰り返し、たまに家に帰ってくると、何かに追いかけられているようにわめき、佐知に救いを求める。そして魂が抜けたようにふらりと出て行くのであった。小説家の仕事はしているが、家にお金を入れることはほとんどなかった。

家ではあまり会うことのなかった夫と椿屋では会うことができるようになった佐知。佐知は、そのことがとても嬉しく、幸せだった。佐知がそのことを大谷に話すと、大谷は「女には、幸福も不幸もないものです。男には不幸だけがあるのです。」と返すのだった。

椿屋で働く佐知の前に、佐知に対して好意を持つ真面目な工員・岡田(妻夫木聡)や、かつて佐知が思いを寄せていた弁護士・辻(堤真一)が現れる。佐知の心は揺れる—。そんな佐知の気持ちを知ってか知らずか、大谷が親しくしていたバーの女・秋子(広末涼子)と姿を消してしまう…。

何故、佐知はどんな状況でも、明るく振舞うことができるのか—?
何故、佐知は放蕩夫の大谷を許し、一筋に愛し続けるのか—?

■CAST
松たか子

浅野忠信


室井滋

伊武雅刀


光石研
山本未来
鈴木卓爾
小林麻子
信太昌之
新井浩文


広末涼子

妻夫木聡

堤真一

■STAFF
監 督:根岸吉太郎
脚 本:田中陽造
原 作:太宰治

製 作:亀山千広 山田美千代 田島一昌 杉田成道
エグゼクティブプロデューサー:石原隆 直井里美 酒井彰
プロデューサー:前田久閑 木幡久美 菊地美世志
アソシエイトプロデューサー:稲葉直人

撮 影:柴主高秀
照 明:長田達也
録 音:柿澤潔
美術監督:種田陽平
美 術:矢内京子
編 集:川島章正
音 楽:吉松隆
スクリプター:岩倉みほ子
衣裳デザイン:黒澤和子
衣 裳:古藤博
ヘアメイク:倉田明美
装 飾:鈴村高正
フードスタイリスト:飯島奈美
助監督:高橋正弥
製作担当:岩下真司 斉藤健志
ラインプロデューサー:宮崎慎也

製 作:フジテレビジョン パパドゥ
    新潮社 日本映画衛星放送
制作プロダクション:フィルムメーカーズ

 

Copyright ©2009 フジテレビジョン パパドゥ 新潮社 日本映画衛星放送