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解夏

■INTRODUCTION
人生の切なさと愛おしさ、
人間の強さと優しさが胸をうつ
静かな情熱を秘めた物語が誕生しました。

映画「解夏」は、特異な才能をもつでもなく、大成功を目指すことでもなく、山あり谷ありの波乱万丈の人生でもなく、普通に生活する名も無き人々の物語です。この物語の主人公、結婚を控える幸せな恋人たちであった隆之と陽子に突然降りかかる不幸(失明の病)は、決して絵空事の出来事ではなく誰にも起こりうることです。この危機を、恋人として親として、そして当事者として如何に悩み、乗り越えて、人生の次のステップに到達し、再生してゆくかを描き、多くの観客に共感をもってこの映画を楽しんでいただくこと。それが映画「解夏」企画のスタートでした。

坂が街並に美しく同化する—長崎というまち

舞台は長崎。
長い歴史が人々の生活に密着し、独自の美しさをもつまち。
海を見おろす墓地、オランダ坂、中華街、そして海の青さ。視力を失ってゆく主人公・隆之は、最後の光を目に焼き付けるため、この美しい故郷を巡ってゆきます。生活に溶け込んだ長崎の美しい坂道を、主人公は時に危うく、時に力強く歩みつづけます。それは、まるで人生の苦楽の歩みそのものとも言えます。長崎にいる現在、半年前のすばらしい教え子たちに囲まれた教師としての生活、そして幼い頃の思い出と時間が交差する中、視力を失う現実に隆之が惨めなまでに苦悩しながらも、恋人、母親、友人、偶然に出遭う人々によって、生きることの大切さを知り再生を目指します。


【『解夏』について】
古来、禅宗の修行僧は、座禅はもとより、師を求めて各寺院を行脚し、托鉢し、修行を積んでいました。しかし、夏の90日間は、「庵」に集まり、共同生活をしながら座禅をする“雨安居”と呼ばれる修行をしました。もともとインドの陰暦4月から7月は雨季であり、外出するのに非常に不便であったと同時に、虫の卵や草の芽が生じる生命誕生の季節であり、歩くことによって殺生してしまうことを避けるための習慣でした。そのうち、この「庵」に食糧などがまとめて寄進されるようになり、寺院の始まりとなったといわれています。
この雨安居の修行を終えた僧たちは、この間に話し合った互いの「行」に対する捉え方、考え方、接し方の誤りを懺悔しあい再び行脚へ旅立って行きました。この修行の入り(始まり)の日を「結夏」(けつげ・陰暦4月16日、本作品では太陽暦5月27日)、終わる日を「解夏」(陰暦7月15日、本作品では太陽暦の8月23日)と言います。

劇中ではこの「解夏」を、闇の中をさまよう苦しみから解き放たれ、ようやく探り当てた一筋の光を胸に自己を再生し、新しく出発する日と考え、物語全体のテーマとして捉えています。

■STAFF
原 作:「解夏」さだまさし(幻冬舎文庫)
脚本・監督:磯村一路
製 作:亀山千広 見城徹 島谷能成 遠谷信幸 桝井省志
エグゼクティブプロデューサー:関一由 小玉圭太 舘野晴彦 千野毅彦
プロデューサー:関口大輔 瀬川ネリ 佐々木芳野
撮 影:柴主高秀(J.S.C.)
照 明:豊見山明長
美 術:小澤秀高
録 音:横溝正俊
編 集:菊池純一
助監督:山口晃二
製作担当:毛利達也
主題歌:「たいせつなひと」さだまさし
作詞・作曲:さだまさし
編曲:渡辺俊幸
音 楽:渡辺俊幸
    オリジナルサウンドトラック盤 フォアレコード
製作プロダクション:アルタミラピクチャーズ
製 作:フジテレビ 幻冬舎 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

■CAST
大沢たかお 石田ゆり子
富司純子 田辺誠一 古田新太 鴻上尚史 石野真子
渡辺えり子 柄本明 林隆三 松村達雄

上映時間 1時間54分 ドルビーSR ビスタサイズ

第16回東京国際映画祭特別招待作品

 

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