今回は途中からのご出演となりましたが…。富田は後半の重要人物になりそうですね。

「登場の仕方はキーパーソンという感じではないんですよね(笑)。だんだん、そうなっていきます。連続ドラマに途中から参加するのは初めてではないので、緊張せずにフワっと入っていこうと思っていました」

福祉課長・富田という役をどのようのとらえていらっしゃいますか?

「最初は別の役だったらしいのですが、そのうち、脚本家さんが“せっかくなら古田さんの下で、あごで使われる役の方が面白いのでは”と言われたと伝え聞いています。皆がそれに乗るのなら、それはそれで面白いのではと…笑。(古田は)大学の後輩ですし、劇団☆新感線で一緒だったというつながりがありますので、ふたりが醸し出す、ちょっとしたやりづらさなどが出るのも面白いかもしれないなと。実際に演じてみても微妙な感じですね(笑)。僕も古田も、お互いに照れみたりするので…。ただ、自分であたりがつく役や設定よりは、ちょっとやり辛いぐらいの方が面白いじゃんって思うんです。そういう意味では案の定、少し居心地悪いぐらいで芝居は楽しいです」

富田を演じる上で気をつけたことは?

「誰かに“ついている”人物というのを、あまりに分かりやすくやるよりは、“この人は何を考えているのだろう”と見える方がいいと思いつつ、ポイントポイントで(意志が)出ているので、兼ね合いが難しかったですね。僕はどっちつかず演じたいと思うんだけど、あまりそれをやってしまうと、あまりにもフラットでファジーなキャラクターになってしまいます。そこで小道具を使おうと考えました。メガネをかけましょうって言われたのですが、僕が選んだのは鎖がついているメガネ。(『アルプスの少女ハイジ』に出てくる)ロッテンマイヤーさんみたいなイメージ、わかります? つけてみると、“意外と使える!”と思いました。セリフがない代わりにメガネをかける動作つけたり、上目使いで見たりして。いい人でもないし、悪い人でもない、それでも最終的には“人間”が見えてくるようにと。ご覧になられている方は、富田という人物のすべてが最終的に繋がってくると思います」

最初に台本を読まれた時の印象は、いかがでしたか?

「僕は途中からですけど、台本は1話からいただいていました。面白いなーと、読みましたよ。藤堂誠(高橋一生)がお金出して買っている莉子(今田美桜)は最終的にどうなっちゃうんだろう? とか(笑)。いや、登場人物のキャラクターそれぞれが興味深く描かれている台本だと思いました。でも、楽しそうな新人研修室や智子(篠原涼子)の家には僕はほとんど行かなくて、台本からのイメージだけなんですけど、ほっこりと温かい雰囲気ですよね? どうして僕の出番がそこにはないのだろう?…と(笑)」

今回は政界が描かれるストーリーです。

「そこはリアルな政界にもありそうなキャッチーなところから入っていますので、最終的な落とし所をどうするんだろう? と、思いました。何も知らない主婦の智子がどうなるんだろう? と。でも、日常から智子がもともと持っていたポテンシャルが知らず知らずに刺激されて、議員としても揺るぎないものになっていきます。そして、ヒール側の犬崎(古田新太)のような男もキチンと人間としての魅力的に描かれていると思います。月曜9時としては挑戦的なドラマかもしれませんけど、若い方が見ても楽しめて、選挙にも自ずと“行かなくちゃ”ってなるんじゃないかと思います」

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篠原さんや共演者のみなさんとの雰囲気は?

「篠原さんとは共演多いですから、そこは楽でした。気を使わなくてすみますからね。僕が疲れ気味で現場に入ったら、篠原さんがおすすめのサプリを教えてくれたんです。それ飲んで元気になりましたよ! あとは、全然絡みはなかったのですが、石田ゆり子さんとも仲が良く、石田さんから“セリフちゃんと言ってもらえませんか~”などといつも突っ込まれていました。現場でLINEを交換しまして、僕もエスプリに富んだ憎まれ口で返しています。きっと癒やされていると思いますよ。でも、基本的には犬崎事務所や市役所の撮影が多かったので、楽しい雰囲気の現場が少なかったのが残念でした。おじさんばかりで…(笑)」

篠原さんが演じる智子はいかがでしょう?

「素敵な役者さんですからね。本人は難しいと言ってましたけど、智子は根の部分で篠原さんとシンクロする部分を感じるんですよ。表裏のなさみたいなのが、すごく合っているので良いキャスティングだなと思います。篠原さんが良い感じに芝居にライブ感を混ぜることが出来るのも、そう感じられる要因ではないでしょうか」

後輩・古田さんの“ドン”ぷりはいかがでしたか?

「古田に“おい!”って言われるシーンとか、何とも言えない気持ちになりました。まあ、舞台でもあいつが強くて私が弱いという役が多いので慣れてはいますがね。前室と呼ばれる控え室で、ソファにドカッと座っている古田のそばに、共演者が誰も近づいてこないんですよ。ドンの雰囲気が出過ぎているのではないでしょうか。30年以上の付き合いですから、(演技が)上手いのはわかっているのでリスペクトはしていますよ、向こうはどう思っているかわかりませんが(笑)。第5話から参加するので、まじめに監督の話を聞いていたら、古田が(声まねして)“いつもの感じでいいんですよ”と。僕は“ばかやろう! 常に新鮮な気持ちでやるんだよ”と返しましたよ。本当に僕が先輩で良かったです、後輩なら地獄ですよ。古田もベテランと言われるようになったんだな~でもあいつはさみしいだろうなと思いますよ。前室などでも、本当はきさくに話しかけてほしいし、誰かと一緒にいたいタイプなんですよ(笑)」

ドラマのタイトルに“世の中、おかしくないですか⁉︎”とありますが、渡辺さんがおかしいと思われることはございますか?

「これは自分の職業的なことも重なるんですけど、テレビ業界に自主規制が多くなってしまったと…。これはもう、みなさんもおっしゃっていることで、これが最近のテレビ番組のパワーを削いでしまっているのでは? と、僕も思うんです。映画の撮影に参加していると、そちらの方がガッツリ作っている感じがしてしまうんですよ。テレビももっと挑戦してみては? と、思うんです。これは自主規制だけではなくて…。その点『民衆の敵』は挑戦的で、こういうやり方もあるんだとお見せ出来る作品だと思いますので、参加させていただけたことはすごく嬉しく思っています」

最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。

「僕が富田として登場してから、もしかするとガラッとドラマのテイストが変わったかもしれません。でも、今までの空気が好きだった方も、最後まで見続けて欲しいと思います。智子が市長になって、あおば市がどうなるのか? 普通の主婦が市長になる夢物語…だけではない展開が待っていますので、ご期待ください」

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