2017年3月25日(土)放送

「日本人女性が支援 無国籍の子供たちに教育を…」

世界で少なくとも1200万人いると言われる国籍がない人『無国籍者』。
本来、人は国籍によって、国に保護され、様々な権利が与えられるが、
無国籍の人たちにはその権利がない。

国連難民高等弁務官事務所によると、ミャンマー、コートジボワールに次いで多い
タイには、推定で44万人の無国籍者がいるとみられている。
山奥などで暮らす少数民族が、出生届けを出さないまま無国籍になっている
ケースが多いためで、このうち国籍のない子供は教育、医療などの面で様々な困難に
直面する恐れがあるという。

ウィークエンド特集
ウィークエンド特集

タイの首都・バンコクから北西に約350km離れた町・サンクラブリー。

ウィークエンド特集

ミャンマーとの国境近くにあるこの町は、多くの少数民族が暮らしている。
町の中心部から車でさらに30分、人里離れた山奥に『虹の学校』という
孤児院と小学校を兼ねた施設がある。

ウィークエンド特集

この施設を運営し、校長を務める片岡朋子さん。
片岡さんは2011年から、少数民族出身の国籍がない子供たちを預かり、
現在(2017年3月時点)、28人と共同生活を送りながら教育支援を続けている。

ウィークエンド特集
ウィークエンド特集

それまでは、バンコクで日本語教師として働いていた片岡さんは、一度きりの人生を
“もっと社会ために使いたい”と決意。
この『虹の学校』の運営を始めたという。

「自分がタイで生まれたという証明がない子が多いし、親もそうじゃない人が多い。
今の時点で(国籍を)取ろうとするのは難しいのが現状」
と話す片岡さん。

ガリアン族出身のポンサイくん。
母親が亡くなったあと、父親が育児放棄したため、2011年に片岡さんの施設に
預けられた。
当時のポンサイくんは、おとなしく、生きる気力もなかったというが、
現在では、他の子供たちの世話をするなど、たくましく成長しているという。
「ここでは、朋子先生がとても良くしてくれて嬉しい」
とポンサイくんは話す。

タイ政府の認可を受けている『虹の学校』では、公立の小学校と同じ卒業資格を
取ることができるという。

ウィークエンド特集
ウィークエンド特集

「6年生をまず終える、そうすれば国籍を取れる可能性が広がってくる。
子供達の可能性を広げているという意味があるのではないかな」
と話す片岡さん。
資金面での課題はあるものの、子供たちに教育を受ける機会を提供し、
“強く生きていく力”を身につけてもらいたいというのが彼女の願いだ。