2016年9月10日(土)放送
2015年9月10日。
関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、甚大な水害被害を受けた茨城県常総市。
あれから1年―。
明治30年から続く酒蔵・野村醸造5代目野村一夫さん。
水が堤防を越えてきた地点から約2km東にある野村さんの酒蔵も大きな被害を受けた。
当時、柵に捕まりながら酒蔵の周りがあっという間に浸水していく様子をスマートフォンのカメラで撮影していた。
酒の瓶詰作業場が壊滅状態で、丹精込めて作った商品約15,000本を失った。
築100年近い店舗兼住居だった木造家屋は、今も住居部分が手つかずのままとなっていて、一度は廃業を考えたという。
「当時は思考能力がなくなった。
畳はめくれ上がり、床もはがして消毒し、現在はそのまま放置している」
と話す野村一夫さん。
しかし、歴史ある酒蔵を何とか残そうと500人に及ぶボランティアが応援に駆け付け、集中的に復旧作業を行い、被害から2カ月後には、酒が仕込めるほど酒蔵は復旧し、2015年12月から酒の製造販売を再開できるまでになったという。
廃業の危機を乗り越え、復興をめざす酒蔵・野村醸造。
行政に頼るだけでなく野村さん自らも防災意識を高める必要があると感じている。
「情報がないというのは怖い。
携帯電話で情報が入ると思うが、電池(バッテリー)がなくなってしまう。
それと最低必要限の食べ物は高いところに置いて確保しておく」
新たな一歩を踏み出し、水害の記憶を風化させないようこれからも歴史を刻んでいく―。