2016年6月12日(日)放送
福祉作業所などで働く障害を持つ人の平均工賃は1カ月約1万4800円。
こうした待遇を改善していこうと障害を持つ人の就労支援事業を行う『テミル』は、2010年に“日本初”という福祉プロジェクト『テミルプロジェクト』を立ち上げた。
『テミルプロジェクト』と呼ばれるこの取り組みは最高のお菓子作りを通して障害を持つ人の生活を向上させようというもの。
現在、このプロジェクトに参加する福祉施設は全国に20カ所に及ぶ。
「いっさい妥協はしない。
妥協すると、中途半端な味が障害を持つ人の価値そのものになってしまう。
偏見の払しょくをしようと日々活動」
と話すテミル・船谷博生代表取締役。
千葉市のデパートで開催された『テミルプロジェクト』のお菓子の販売。
一流のパティシエがレシピを監修し、人気の絵本作家がパッケージをデザインするなど徹底的にこだわったたくさんの焼き菓子。
購入する人たちからは“美味しい”との声が…
百貨店にも出せるような商品を福祉施設で作り、売り上げが上がると、働く障害を持つ人の工賃に反映されるという。
さらに、こんな取り組みも―。
バームクーヘンで知られる洋菓子の名店“クラブハリエ”がプロデュースするカフェを3年前にオープン。
このカフェで働く鉢呂飛鳥さんは生まれながらの知的障害を持っている。
ここでは、お菓子作りだけでなく接客なども行い、障害を持つ人がより活躍できる店を目指しているという。
当初、1人で接客をさせるのは心配だったと言う鉢呂さんの父親・俊一さんは、
「毎日、いきいきして、とにかく仕事が楽しいと言って家に戻ってくる。
職場での話を良くしてくれるようになった」と笑顔で語った。
障害者を守る施設からお菓子作りを通して共に働き共に考え自立を目指す『テミルプロジェクト』。
この先に目指すものについて、テミル・船谷博生代表取締役は
「1カ月1万円だった賃金が、プロジェクトに参加して、3年目で4万円を超えたという施設もある。
6〜7万円ぐらいにして障害年金と合わせて最低賃金以上になるようにしていきたい」
と語った。