2016年3月27日(日)放送
建物の老朽化などで、劇場やホールの建て替えや改修工事のための長期閉鎖が相次いでいる。
2016年には一気に6万席以上が使用できなくなることから、“2016年問題”とも言われている。
そのうちのひとつ、東京・日比谷公会堂が3月末で耐震化工事のため休館となった。
高層ビルが立ち並ぶ都会のオアシス、日比谷公園、その一角にある日比谷公会堂。
3月27日、長期閉鎖に入る前の最後の公演となる“都山流尺八演奏会”が行われた。
日比谷公会堂が開設した翌年から84回にわたって公演を行ってきたという。
「寂しい、代々の思い入れがあり、日比谷公会堂が使えなくなる最後の日曜日を選んだ」
と都山流尺八楽会・廣田錵山関東支部長は話した。
日比谷公会堂は1929年、昭和4年、当時の技術の粋を集めて、音響効果に優れた多目的ホールとして生まれた。
有名な指揮者のカラヤンやメニューインなど、来日した著名な音楽家のほとんどが日比谷公会堂で演奏会を行った歴史があるという。
舞台そでにあるグランドピアノには著名な演奏家たちが公演をした証が残されていた。
また、さまざまな集会にも利用され、1960年には、演説中の当時の浅沼稲次郎社会党委員長の刺殺事件もあった。
その後も、講演会やコンサート、発表会など多くの人々に親しまれた日比谷公会堂。
床と柱は87年前のものが残っていて、2階中央大広間の床は、大理石による幾何学模様。
客席左右の壁にはレリーフが…。
当時の400万円、現在だと約8億円に相当する建設費をかけた洋式の豪華な建物で1999年には東京都の歴史的建造物に選定された。
しかし、建物の老朽化による耐震補強工事のため、2016年4月から休館となった。
「歴史あるホール。
その歴史を踏まえた中で、さらに皆様にとって利用しやすいホールとして生まれ変わればいい」
と日比谷公会堂・菊本誠二館長が語った。
耐震補強に加え、より快適に過ごせるホールに生まれ変わる予定で、歴史的な風情を残すためにも、外観を保存することも検討されるという。