きょうのわんこスペシャル
『会いに行く~月に一度の大切な約束~』
ウィズくん オス 13才
(雑種)
島根半島の北東およそ80キロ。大小180を超える島々からなる隠岐諸島で最も大きな島が島根県・隠岐の島町。海に囲まれた貴重な自然が残るこの島のとあるお宅で毎日のんびりと暮らしている一匹のおじいちゃんわんこがいます。
名前は「ウィズ」。実は、「ウィズ」には遠く離れたある人との大切な約束があるんです。およそ13年前。この島でアパート暮らしをしていたご主人が知り合いの家から譲り受けたのがやんちゃな子犬「ウィズ」でした。
「ウィズ」の事を黙って受け入れてくれたお父さん。「ウィズ」という名前をつけてくれたのはそんなお父さんでした。
それから10年間お父さんと一緒に暮らしていた「ウィズ」ですが、2年前にお父さんが病気で倒れ「ウィズ」の面倒を見れなくなってしまいました。
そこで元の飼い主である息子さんと当時知り合ったばかりだった喜美枝さんの2人がこの実家で暮らすようになり、「ウィズ」はその名の通り家族みんなと一緒に暮らすようになったんです。
この島で暮らし早13年。子犬の頃はやんちゃで鳴らした「ウィズ」も沢山の人たちと出会いだいぶ歳をとりました。
船が行き交う漁港を眺めながらご主人たちと一緒にのんびりと散歩をするのが大好きな「ウィズ」。そんな「ウィズ」には大切な約束があるんです。
今日はあいにくの雨模様。いつもの朝とは違い何だか慌ただしいご主人達。そう、今日は「ウィズ」にとっても月に一度の大切な日。
遠く離れた島根県・出雲市でひとり暮らしをしている77歳の喜美枝さんのお母さんに会いに行く日なんです。港へと急いで・・・フェリーに乗り込み出航です。
潮風に吹かれながらしばし住み慣れた隠岐の島町が遠くなっていくのを眺める「ウィズ」。船内にいると顔なじみの島の人や旅行客たちが声をかけてくれます。
フェリーに揺られることおよそ2時間半。船は島根県・七類港に到着。フェリーから降りると今度は車に乗り換え新たに出発です。
2時間半のフェリーの後にさらに車で2時間半。片道およそ5時間かけようやく喜美枝さんのお母さんが暮らす島根県・出雲市の家に到着です。
「ウィズ」が来るのを首を長くして待っていたお母さん。ホッとしたのか「ウィズ」はお母さんに甘えたままあっという間に眠ってしまいました。
月に一度、隠岐の島町からお母さんに会いに来ている「ウィズ」。翌朝いつも散歩に行っている家の近くの日御碕灯台へ。
2年前にお父さんが亡くなり、今はひとり暮らしになったお母さん。月に一度の「ウィズ」とお母さんの大切な時間。
でも、そんな時間はいつもあっという間に過ぎ去りまた別れの時間がやって来てしまいます。
遠く離れていても「ウィズ」にとってお母さんは大切な家族。そのお母さんに月に一度必ず会いに来るのが「ウィズ」にとって何よりも大切な約束。
元気でいられる限り、お母さんとの約束を守って行こうと思っている「ウィズ」なのでした。