マイナス12度という寒さの中一面銀世界の山頂から街を見下ろす一匹のわんこ。このわんこはかけがえのないパートナーとして暮らしているわんこなんです。
北海道・札幌市の中心部からクルマでおよそ40分。季節を問わず、リゾート地として賑わう札幌市・手稲区にある手稲山。 ここに冬の間およそ24万人もの人たちが訪れるサッポロテイネスキー場があります。
ここのゲレンデのすぐ横で暮らしているワンコがいます。名前は「ギン」。 生後8ヵ月でここにやって来たわんこです。
朝7時。実は「ギン」はこのスキー場の一員としてスタッフの人たちと一緒に仕事をしているわんこなんです。
今朝もおよそ60名程のスタッフ達と朝の挨拶。それが済むとちょっと甘えた声で誰かを呼ぶ「ギン」。 それはスタッフの中で一番一緒にいる時間が多い高木さん。
「ギン」はその高木さんと一緒に今日もスノーモービルに乗って担当している勤務場所に移動するんです。 雪の中を走る事およそ5分。やって来た所は「ギン」が受け持っているリフト乗り場。
首からスキー場のスタッフのタグを下げて準備完了。 「ギン」の仕事は毎日このリフト乗り場でお客さんを出迎える事。
そんな「ギン」は今から7年前、子犬の頃に「ベル」というわんこと共に閉店したとあるお店からここにやってきたわんこ。 2匹は今は休園してしまった遊園地で一緒に看板犬をしていました。
その後2匹はこの施設の中にあるゴルフ場に移り「ギン」は北海道犬の血統を生かして熊を見張る警備犬に抜擢されたんです。
そして、冬の間はスキー場のスタッフ。 2年前に「ベル」が亡くなってからは「ギン」一匹でお客さんを迎え、今やスキー場には欠かす事のできない存在。
そんな「ギン」が働いているこのスキー場は歴史的な場所としても有名。 そうここは、1972年に開催された札幌冬季オリンピックのアルペンスキーやボブスレーなどの競技場として使われたところで今でも当時の聖火台や施設の一部が残っているんです。
ウィンタースポーツを愛する人たちが集うこのスキー場で「ギン」は知らない人はいない人気者。 ここはスキースクールが盛んで「ギン」は仕事中に元気な子供たちに会うのをとても楽しみにしています。
こうして毎日たくさんの人たちを迎えている「ギン」。 そんな「ギン」は、まるで布団の上に横になるように雪の上でゴロ〜ンとなって昼寝をするのが、いつものスタイル。
日本全国、そして海外からも多くのスキー客が訪れるこのスキー場で「ギン」は誰からも愛されているわんこなんです。 午後4時。リフトの営業時間が終わるのと同時に「ギン」の今日一日のゲレンデでの仕事も終了です。
仕事が終わると「ギン」はスタッフの高木さんと一緒にまたスノーモービルに乗って誰もいなくなったゲレンデをパトロールしながらいつもの場所へ。 そこは標高470m、聖火台のある山頂。「ギン」はスノーモービルから降りると…。
毎日350mの直線コースのゲレンデを猛ダッシュ。一気に駆け下りながら帰るんです。
そして、陽が落ちる頃には小屋に戻る「ギン」。 しんしんと冷え込む夜を迎え「ギン」の一日が静かに終わります。こうして「ギン」はこのスキー場のスタッフとして毎日頑張っているんです。
生後間もない頃からやって来てこの山を守り続けて早7年。 今年の冬も美しい大自然の中で良きパートナーとしてみんなと力を合わせて行こうと思っている「ギン」なのでした。