草むらから顔を出した一匹のわんこ。今がやんちゃ盛りのこのわんこ、実は、大切な想いを受け継ぎこの春、大きな一歩を踏み出しだわんこなんです。
和歌山県に隣接する奈良県・五條市。街の中心から少し離れた静かな山間で一匹のわんこが暮らしています。これが、もうすぐ1才になる「なつ」です。
「なつ」の家はご主人夫婦とお婆ちゃん、そして長男家族の6人。そこへ今、東日本大震災で被災した福島県の親戚が避難して来ていて総勢10人。この春から「なつ」の家は今まで以上に賑やかになりました。
朝食が済むと、「なつ」も車に飛び乗って仕事場へと向かいます。心地よい春の風を受けながら走ることおよそ5分。
やって来た所は1.2ヘクタールの広大な敷地に250本以上の柿の木が植えられた畑。実は「なつ」の家は五條市の特産品、柿を作っている農家なんです。
「なつ」にとってこの畑は格好の遊び場。
一方、ご主人からこの畑を受け継ぎ3代目として柿の木を守る長男の陽太さんは今日も剪定作業に大忙しです。そしてお昼。
「なつ」もお裾分けをもらおうと早速、スタンバイ。福島から避難している親戚一家も一緒です。
実は、「なつ」は先代の「さくら」が突然の病気で亡くなった後やって来たわんこ。家族の悲しさを癒すためにやって来た大切なわんこです。
3月11日に起きた東日本大震災。陽太さんの妻・雅美さんの実家がある福島県・いわき市も大きな地震に見舞われました。避難してようやくおちついた暮らしが出来る様になった一家。
「なつ」は皆にとっても大切な存在になりました。大震災がきっかけで一緒に暮すようになった親戚も、今では「なつ」の大切な家族です。
4月に入り、「なつ」にとって特別な日がやってきました。お父さんの運転する車に飛び乗った「なつ」。実は、今日向かう先は柿の木の畑ではありません。
吉野川を渡り走ることおよそ40分。やって来た所は隣町にある吉野山。この時期、満開の桜が咲く有数の桜の名所。世界遺産としても知られています。
「なつ」は生まれて初めて目にする桜に興味津々。ちょっと寄り道をしてお母さんと初めてのお花見をすることにしました。
あまりの美しさに…うっとりの「なつ」。でも、今日はお花見をしに来たわけではありません。お嫁にいった娘さんが駆けつけてくれたのは、お父さんが5年前に始めたお店。実は「なつ」は今日、このお店の看板犬としてデビューする日なんです。
「なつ」はお客さんに最高の笑顔を振りまいていた今は亡き先代の「さくら」の後を継ぐ2代目の看板犬。
来年は被災地の人達に満開の桜を見に来て欲しいと願うご主人。
色々な出来事があったこの春。「なつ」は家族の期待に応えようと最高の笑顔で明日に向かって新しい一歩を踏み出したのです。