今年も子供達と一緒に春を迎えた一匹のわんこがいます。
青森県・八戸市の郊外に位置する南郷区・島守地区。春まだ遠い大自然に囲まれた場所です。この地区に小さな小学校があります。
創立136年の「八戸市立島守小学校」。今朝も校舎の隅でみんなが登校してくるのを待っているのが「ポチ子」です。
「ポチ子」はこの小学校で暮らしているわんこ。バスや集団登校でやって来る生徒達を迎えて一日が始まります。
授業前に散歩に連れて行ってもらうのが朝の日課。まだ雪の残る学校の周りを一周します。
そして…先生達も必ず「ポチ子」に朝の挨拶をしに来てくれます。
そんな「ポチ子」がこの小学校にやって来たのは7年前のこと。当時は学校のまわりをウロウロしていた迷い犬でしたが、生徒達が可愛がる様子を見た当時の先生が飼うことを決め、1ヵ月後に正式に学校のわんこになったのです。
めったに吠えない穏やかな性格の「ポチ子」はすぐに子供達の人気者になり、先生達からも信頼される存在に。ご飯や予防接種のお金はPTAの予算でまかなってくれることになりました。
保護されてから7年が経った今では、子供達と一緒のこの小学校が「ポチ子」の我が家です。「ポチ子」はみんなのアイドル的存在のわんこなんです。
7年前、この小学校の子供達と出会っていなかったら今は生きてさえいなかったかも知れない「ポチ子」。そんな「ポチ子」のことを毎日、世話してきた生徒達に去年、地域の獣医師会から感謝状が贈られ、そのことは地元の新聞でも紹介されました。
下校時間になると、皆を見送って「ポチ子」の一日は終わります。
「ポチ子」にとって、ちょっとさびしい日がやってきました。ずっと面倒を見てくれた3人が卒業する日です。ポチ子は式場に入ることは出来ませんが、いつもの場所でじっと聞き入っていました。
朝の散歩に連れて行ってくれたり、ご飯の用意をしてくれたり、生徒達を代表して、ずっと世話をしてくれた3人がこの春、小学校を巣立って行きます。これが、3人との最後の散歩。
みんなの優しさに感謝しながらこれからも子供達の良き友であり、そして心に残るわんこでいようと思う「ポチ子」なのでした。