
日づけ:2025年6月18日
みなさん、こんにちは!
「現場日和」担当スタッフです。
今回は、演出を手掛ける平野眞とプロデューサーを務める宋ハナのスペシャル対談の後編をお届けします。
前編では作品の映像化や主題歌&劇中の音楽などについてのお話をお伺いしましたが、後編ではなつ美役の芳根京子さん、瀧昌役の本田響矢さんの魅力や作品を作るうえでのこだわり、そして気になるドラマ終盤の展開について明かしてくれました。
まずは芳根さんと本田さんの印象から聞いてみましょう!

まさにハマリ役とも言える芳根さんと本田さんですが、おふたりのお芝居の印象や細かくお話されたことなどがあれば聞かせていただけますか。
平野:第2話で瀧昌からパンフレットを見せてもらったなつ美が、彼の横に座るシーンがあるんです。そこで僕が芳根くんに、「横に座ったら、ちょっと馴れ馴れしくて嫌な女に見られちゃうかな……いや、でも座っちゃえ」というようなお芝居をしてください、とお願いしたんです。よく見るとそれをしっかりやってくれているんですよ。僕の無理難題を即座に理解して具現化してくれるので、それを現場で見られるのは僕の密かな楽しみですね(笑)。ドラマ作りって、いまお話したような、「これが伝わるのかどうか分からないけど、でもやった方が絶対におもしろくなるよね」という作業の積み重ね。だからこそ、そういった部分を見つけてSNSで反応してくださる方々がいるのは、僕らからするとすごくありがたいです。
宋:今回、芳根さんになつ美を演じていただくにあたり、芝居とともに芳根さんの持っている健気でかわいらしい姿も見たいと思っていたのですが、期待をはるかに超える、素敵ななつ美を作り上げていただきました。また、私が個人的に感動したのは、座長としての現場での振る舞いです。芳根さんがいるだけで現場が明るくなって、みんなが「芳根さんについていこう!」という気持ちになるんです。それは芳根さんの人としての魅力だと思います。

平野:響矢くんはちょっと不器用なところが魅力的ですよね。僕はその不器用さを瀧昌という役に活かしてほしいと考えていて、本人には「うまく演じようとしなくていい」と伝えました。そこが彼の最大の武器になっているし、響矢くんにしか演じられない唯一無二の瀧昌になっていると思います。
宋:キャスティングが決まる前に、本田さんとお会いしたことがありまして。そのときから真面目で好青年で、なにより笑顔が素敵だったんです。そして、平野監督が言うように、少し不器用な部分も垣間見えて(笑)。瀧昌役にその不器用さを活かすことができたら、ぴったりハマるだろうと感じていました。実際、撮影に入ってからも本田さんはひたむきに役に向き合っていただいていて、周りのみんなが支えてあげたいと思うような人です。

本作ではなつ美や瀧昌たちの心の声であるモノローグがたびたび入り、作品のアクセントになっていますが、どうやって収録されているのでしょうか。
平野:現場では「ふたりの感情はいまこうだよね」ということを確認してもらった後に、すぐモノローグの声だけを録音しています。その場で録音した声を流しながら、ふたりにはお芝居をしてもらっています。
なつ美と瀧昌以外にも、人間味あふれるキャラクターが多数登場するのも今作の魅力。家族として、後見人として、友人として、それぞれ立場は違えど、多くの人物がなつ美と瀧昌を支えていますが、そのなかでもふたりが注目しているのは、表と裏から彼らを優しく見つめるあの登場人物のようで……。
なつ美と瀧昌を視聴者と同じ目線で見守る存在

なつ美と瀧昌以外に注目しているキャラクターを教えてください。
平野:活動弁士役の生瀬勝久さんです。
宋:やっぱり、そうですよね(笑)。
平野:現場では生瀬さんのお芝居がおもしろくて、ついつい僕らスタッフ含めてヒートアップしてしまうので、抑え気味に演じてもらっています(笑)。
平野:あと、活動弁士の説明が入ることで、分かりやすいって言ってくださる方が多いよね。
宋:そうですね。私は、なつ美と瀧昌を優しく見守る郁子さん(和久井映見)が大好きです。和久井さんに演じていただくことで、温かさが画面いっぱいに広がりますよね。これは和久井さん、生瀬さんおふたりに共通しているのですが、なつ美と瀧昌を視聴者と同じ目線で見守ってくださっていることが伝わってくるんです。
平野:郁子さんのリアクションは、本当にかわいいです。

平野:かわいいと言えば、第2話のなつ美の家族が集まるシーンで、妹のふゆ子(小川彩)がなつ美に「甘え方指南」をするシーンもおもしろかったですね。
宋:小川さんは地上波ドラマ初出演で、しかもそのシーンではいわば「仕切り役」でしたから、すごく緊張していましたね。ただ、本番では本当にかわいく演じてくださいました。
原作の世界観を大事にしながら、丁寧かつユーモラスに物語を紡いできたスタッフ陣。ドラマ作りの核心について問うと、ひと際真剣な表情になり、『めおと日和』に込めた想いを明かすと同時に、物語の結末についても少しだけ語ってくれました。
ふたりがたどり着く
「幸せのかたち」

あらためて、本作を作るうえで大事にしていることは何ですか。
平野:ふたりの「距離感」を常に意識しています。また、なつ美がかわいくて一生懸命であること。とにかく彼女が純粋で明るい子に見えるように心掛けています。たとえば、第1話の最後でなつ美と瀧昌が手をつなぐのですが、指だけがすっと引っかかるようにしたかったんです。そこから主題歌がスタートすることを自分のなかで決めていたので、すごくこだわりました。なつ美があまり積極的になるのは嫌だけど、ちょっとだけ瀧昌に寄り添うところをあの指だけで表現したかった。そこは芳根くんと響矢くんに何回も練習してもらいましたね。
宋:やっぱりふたりの生活を大切に描きたくて。我々があたり前だと思って見過ごしているかもしれない日常や、ふとした瞬間の尊さをちゃんと噛みしめていけるような作品にしたくて…。そのなかにふたりの愛や絆があると思っています。なつ美と瀧昌の生活を通して、何気ない一日がどれだけ大事なのか、大切な人と一緒にいる時間がどんなにかけがえのないものなのか感じてもらえたらいいなと考えています。

最後に、視聴者の誰もが気になっている今後の展開についても教えていただけますか。
平野:実は我々もいま結末をどうするのか議論しているところです。ハッピーエンドを望んでいる視聴者の方が多いことは分かっているのですが、昭和11年というと、どうしても戦争の足音が聞こえる時代でもあって、そこをどう描くべきなのか…難しいですよね。
宋:いろいろな幸せのかたちがあると思いますけど…。原作は連載中ですから、その手前で終わらせるのか、逆にその先まで行ってしまうのか。そこは原作者の西香はち先生や脚本の泉澤陽子さん含めてしっかり考えていきたいと思っています。
平野:そうだね。
宋:ただ、戦争と隣り合わせの日常だからこそ、ふたりの幸せが尊く感じられるラストにはしたいなと。最終的にどんな結末になるのか…そこを含めて、楽しみにしていただけたらと思います。

最後まで笑顔を絶やすことなく語り合うおふたりの姿を観て、『めおと日和』のチームワークの良さがよく分かる対談になりました。そして、気になるのは、物語の結末がどうなるのか…。なつ美と瀧昌が、最後にどんな「幸せのかたち」にたどり着くのか、最後まで見届けていただければと思います。
次回で最後となる「現場日和」は、最終話放送後の6月27日(金)にお届けします。お楽しみに!