波うららかに、めおと日和

2025年4月24日スタート 毎週木曜 よる10時放送

現場日和

人と人とのつながりや絆を描きたい

日づけ:2025年6月11日

撮影シーン

みなさん、こんにちは!
「現場日和」担当スタッフです。

今回は、演出を手掛ける平野眞とプロデューサーを務める宋ハナのスペシャル対談の前編をお届けします。

これまで『やまとなでしこ』や『監察医 朝顔』など、多くの人気ドラマの演出を手掛けてきた平野と、『やんごとなき一族』や『風間公親‐教場0‐』などの話題作のプロデューサーを務めた宋がタッグを組む今作。「こんなに楽しくて明るい現場はなかなかない」と語り合うふたりに、今作に込めた想いやこだわり、そして撮影の裏側についてお聞きしました!

撮影シーン

昭和11年を舞台にした原作を、この時代に映像化する意味をどのように考えていますか?

宋:まず原作を拝見し、なつ美と瀧昌の流れている時間は丁寧に描かれており、気持ちが高まる過程は繊細に紡がれている素敵な作品だと感じました。今はすごく便利な時代ではありますが、そういう時代だからこそ、人と人とのつながりや絆、朝起きたときの「おはよう」や、出かける前の「いってきます」、食卓で「ご飯がおいしいね」という当たり前の会話がある日常を、ドラマを通してお届けできたらいいなと思いました。

平野:僕は日常生活を表現するのがすごく好きで、このドラマであれば、掃除や洗濯、食事など、日常のすべてが表現できると思ったんです。たとえば、家に帰ってきたらすぐに「いただきます」とご飯を食べるのではなく、まず手を洗って食卓につくという流れを映像で表現したい人間なんですよね。日常生活の流れを丁寧に見せることで、伝わることがあると考えているので、この作品はそれを実践できるな、と思いました。それから、携帯電話がない時代なのもうれしいです。互いに連絡の取りにくい世界を描くほうが演出家としておもしろいし、その歯がゆさを俳優陣とともに表現できる作品だなと思いました。

撮影シーン

宋:昭和11年ということで、電話もまだ一般家庭にはそこまで浸透していない時代ですもんね。
平野:そうですね。また、包丁ひとつをとっても現代とは形が違うんです。当時の方たちが使っていた道具を美術さんが用意してくれたので、具材の切り方だとか、釜の火のおこし方、調理の仕方など、そのすべてを再現できたらいいなと。第3話では当時のアイロンが出てきますが、ワクワクしました(笑)。
宋:道具もおもしろいですが、一つひとつの所作を観てもすごく美しいんですよね。
平野:そう思います。とくに、第7・8話ではこたつのシーンがあるので楽しみにしていただきたいですね。

撮影シーン

幅広い世代を魅了する
主題歌『夢中』

BE:FIRSTさんが歌う主題歌『夢中』は、本作の世界観に合った軽快なテンポと優しいフレーズが印象的なナンバー。実は、打ち合せの際にデモ曲を聴いたとき、平野も宋も感激したと言う。さらに、劇中の音楽や効果音にもこだわっていることが明かされました。

主題歌が作品の世界観にピッタリですよね。

宋:反響がすごく大きいですし、ドラマの世界観にマッチして、幅広い世代の方に届いている印象があります。
平野:最初の要望では、BE:FIRSTさんのイメージ…(激しめの)アップテンポではない曲をリクエストしていたんです。だからといって、ラブストーリー=バラードということには捕らわれずに作っていただきたいとご相談しました。すると、話し合いをしていくなかで、事前にお渡ししていた台本などから担当の方がデモ曲をすでに作ってくださっていて、それをみんなで聴いてすぐに、「いいじゃん!」となりました(笑)。
宋:そうでしたね(笑)。そこからちょっとずつアレンジしていただいて。たとえば、ふたりの恋を連想させる歌詞を入れていただいたり、現代的すぎるところを少し抑えていただいたり、最終的に今の楽曲に仕上がりました。

撮影シーン

また、主題歌以外の劇中の音楽も素敵ですね。たとえば海軍のシーンではラッパの音が使われていました。

平野:軍を象徴するような音楽が一つほしかったんです。ただ、エレキギターのような電気を使う楽器は使わずに、「管楽器とか楽しそうだよね」という話を劇伴の担当者と相談しました。それから、ひとつのフレーズで繰り返し流せる音楽を作ってほしいとも。
あとは、物語の展開がゆったりしているので、行動ひとつひとつにも音をつけたくて…。なつ美(芳根京子)の瞬きにも音をつけているんですが、そこまで振り切ったほうがおもしろいかなと思ってやっています。

何回も観てくださる方が多くてびっくりしています

撮影シーン

なつ美と瀧昌(本田響矢)の純粋で微笑ましい交流以外にも、毎話異なるオープニングがSNSで話題になるなど、視聴者の皆さんのさまざまな反響やコメントが大きな活力になっていると語るふたり。こだわった細部が視聴者のみなさんに届いたときの喜びは何事にも代えがたく、「本当にうれしいよね……」としみじみ。そして、繰り返し観てくださる方に向けて、新たな注目ポイントも!

オープニングの映像が毎話、変わっていることがSNSなどで話題になっていますね。

平野:最近のドラマでタイトルバックがあまりないので、タイトルバックを作りたいと思って、あえてラストカットだけ10パターン微妙に違う形で撮りました。それがこんなにも話題になるとは思っていなかったです。
宋:毎話、本当にうれしいコメントをたくさんいただいています。今の時代は、視聴者の皆さんとSNSを通じて繋がることができるので、そのなかで、「ドラマのことを、学校や会社で話しています」というコメントを見ると、ドラマによって輪が広がっているようですごくうれしくなりますね。
平野:本当にありがたいよね。タイトルバックもそうですが、これは気づかないだろうな……と思いながらも、こだわって撮った細部を見つけてくれて、「ここってこういう意味だよね?」とSNSで書いてくださるのを見るとうれしいです。何回も観てくださる方も多くて、びっくりしていますね。

撮影シーン

とくに、ここはこだわっているのでぜひ注目してほしいというポイントを教えていただけますか。

平野:芳根くんほか、キャストの方のお芝居にいろんな演出の意図を込めているので、注目していただきたいというのが一つです。あと、このドラマはカメラがほとんど動かないんです。全ての映像を「絵」のように感じてもらえるように。何より僕がカメラをフィックス(固定)で撮ることが好き(笑)。スタッフとも「この絵がいい!」「このふたりが素敵!」ということを試行錯誤しています。
宋:私は、視聴者の皆さんが観るたびに楽しむポイントが毎回違うドラマになっているんじゃないかなと思うんです。最初はなつ美の初々しさにキュンとしていたけど、もう一度観ると今度はなつ美に対する瀧昌の仕草にドキッとしたなど。そのほかにも観るたび、毎回違う楽しみを見つけてもらえたらうれしいです。

撮影シーン

終始、明るく楽しそうに撮影を振り返るふたりの姿がとても印象的な対談でした。後編では、芳根さんと本田さんの俳優としての魅力や終盤の展開について語り合っていただきました。次回の平野と宋のスペシャル対談第二弾の「現場日和」もお楽しみに!

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