
日づけ:2025年6月4日
みなさん、こんにちは!
「現場日和」担当スタッフです。
今回は、ドラマのフードコーディネーターを務める山﨑千裕さんのインタビューをお届けします。

なつ美(芳根京子さん)と瀧昌(本田響矢さん)を中心に、日常生活を大切に描いている本作ですが、そのなかでも食事のシーンは“幸せの象徴”として重要な意味を持っています。ライスカレーやコロッケなどの調理シーンが印象に残っている方もいらっしゃると思いますが、山﨑さんはそういった調理シーンの指導や完成した料理の演出を担当されているのです。昭和11年の食事を再現するために、どんなことを大切にされているのか、うかがいました!
食事のシーンが多く登場する本作ですが、原作を読まれた感想はいかがでしたか。
「原作でもなつ美が料理している場面や完成した料理がアップで描かれていて、とても美味しそうなのが伝わってくるんです。なつ美が瀧昌のために頑張って作っているのがすごく感じられるし、ほっこりするシーンには欠かせない要素だと思っていました。なので、ドラマの撮影に入る前から、この作品に携われることを楽しみにしていました。」

毎話、一生懸命に料理するなつ美がかわいらしく、とても美味しそうな食事が出てきます。どんなところにこだわっていますか。
「なつ美は不器用ながらも、瀧昌の好物であるカレイの煮付けを頑張って作っていて。最初は煮崩れしたり、焦がしたりしていたので、見た目が綺麗すぎないように気をつけました。そこから徐々にうまくなっていくという過程があるので、仕上がりの見た目は、なつ美のイメージに合うよう意識しています。
献立も昭和初期という時代背景も大事にしつつ、見ためで美味しそうと思えるように盛りつけたり、色味も工夫しています。」

昭和11年の食事を再現するということで、事前にどのようなリサーチを行なったのでしょうか。
「私の周りには昭和11年という時代を知っている人はいなかったので、ひたすらインターネットで調べたり、助監督さんから資料をいただいて勉強しました。食事の献立に関しては、現代とさほど変わらない印象を受けましたね。昭和11年にはまだない食材もあったりはしますが、たとえばおせち料理などは今と大きくは変わらないことが分かり、驚きました。」
キャラクターの個性を活かした
大きな「おはぎ」

ドラマで目を引くのが、瀧昌のために大きな鍋で懸命に調理するなつ美の姿や、大きなおはぎを頬張る彼女の愛らしい姿。演出の平野眞監督いわく「当時は小さい鍋があまりなく、大家族専用の大きいものが主流だった」とのこと。また、大きなおはぎについては、「芳根さんの顔くらいの大きさがあると面白いよね」という平野監督と山﨑さんとの会話のなかから生まれたということでした。ちなみにこのおはぎ、和菓子好きで舌が肥えている芳根さんも絶賛していたそうです。
なつ美が作る味噌汁などの量が多く、甘味処「坂井」のおはぎもなつ美の顔が隠れるくらい大きかったですよね(笑)。あれにはどんな意図があったのでしょうか?
「確かに、味噌汁の量は多いですよね(笑)。お鍋の大きさに関しては、美術さんが当時に合わせ用意してくださっていた鍋が大きいものだったということはありますが、テレビの映像ではインパクトも重要かなと思っています。
『坂井』のおはぎも平野監督と相談し、戸塚純貴さん演じる坂井(嘉治)自身のキャラクターを考え、大きい方が彼に合うなと思いました。」

夫婦の食卓以外にも、海軍や関谷家の食事のシーンにも特色がありますよね。
「やはり時代に沿ったものということで、海軍の食事に関してもあらかじめ助監督さんから当時のレシピなどを資料としていただいていました。それをもとに、現代とはちょっと雰囲気が違う料理に仕上げています。また関谷家、それからなつ美の作る料理もそうですが、季節に合った食材を使ったメニューを考えています。」
芳根さんと本田さんは、
まさになつ美と瀧昌そのもの
なつ美にとって、瀧昌との食事は大切な時間。手料理を食べた瀧昌から、彼の口癖である「問題ありません」の言葉を聞いて、ホッと笑顔を浮かべる彼女の姿を観て癒やされる人も多いはず!撮影現場でも芳根さんはなつ美そのもので、明るい笑顔は太陽のような存在感。一方、なつ美と新婚生活を送り、回を追うごとに自分の感情を表すようになってきた瀧昌も、本田さんも実直かつ、ときにユーモラスにそのキャラクターを表現しています。

撮影現場での芳根さんと本田さんの印象はいかがでしょうか。
「芳根さんは常にニコニコされていて、とてもかわいらしい印象です。お料理もよくされているそうなので、調理シーンもやり方だけお伝えしたらすぐにできるし、とても気さくな方でした。お料理も美味しいと言ってくださり、うれしかったですね。
本田さんは、SNSなどではお茶目な姿も載っていますが、私がお見かけするときはいつも役柄に集中されていて、原作コミックの瀧昌そのままだなという印象です。」

今後の食事シーンで視聴者の方に注目していただきたいポイントがあれば教えてください。
「原作にも描かれていた、みんなで餅つきをしている場面やおせち料理を食べるシーンなど、ほっこりするような場面がまだまだあります。なつ美と瀧昌のキュンキュンする場面以外の料理シーンにもぜひ注目して観ていただければと思います。」
季節の食材を活かした
献立に注目!
昭和11年当時の調理方法や料理の見た目はもちろんですが、美味しさにもこだわっているという山﨑さん。そうした気遣いが出演者のみなさんから自然な笑みを引き出し、ほのぼのと心温まる食事のシーンを生む原動力のひとつになっているんですね! 時代背景も考慮しながらも、季節の食材を活かした献立が今後も登場するので、楽しみにしていてください。

次回の「現場日和」では、演出の平野眞監督と宋ハナ・プロデューサーとの対談をお届けします。お楽しみに!