独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ  〜横田夫妻、最後の戦い〜

独占取材 北朝鮮拉致 前略 めぐみちゃんへ  〜横田夫妻、最後の戦い〜

2019年3月30日(土)15時30分~17時30分

放送内容

2002年の拉致被害者5人の帰国から16年、めぐみちゃんに会いたい…その一心で41年間駆け抜けた横田滋さん・早紀江さん夫妻の知られざる真実とは、そしてカメラが見たふたりの「今」とは。フジテレビに残された2000本以上に及ぶ横田夫妻のVTR、さらに新たな取材を元にドキュメンタリードラマでふたりの戦いが初めて描かれる。

横田夫妻、最後の戦い

カメラが追い続けた横田滋さんの今

去年4月から入院生活が続き、テレビでその姿を見なくなった横田滋さんは現在86歳。入院直前まで番組のカメラはその姿を追い続けていた。集会でなかなか言葉が出ずに詰まってしまう場面、会見で絞り出すようにめぐみさんの名を呼ぶ場面、靴の脱ぎ履きも含め日常生活の全てを早紀江さんがサポートする場面など、あのいつも誰に対しても笑顔を絶やさず精力的に活動してきた滋さんに忍び寄る「老い」を取材。滋さんは今も、めぐみさんから拉致の前日にプレゼントされたくしや、めぐみさんの写真を病室に置いて、めぐみさんの帰りを待っているという。

涙が枯れ果てる姿を捉えてきた2000本以上の報道素材

1997年、大阪・堺。拉致問題解決への署名活動を行う、若き横田夫妻。社会の関心はまだ薄く素通りされ続け、心ない人に配っていたチラシを叩き落とされる。しかしそれを再び拾い、声を上げ続けた。政府の対応が生ぬるいと首相官邸前で熱波の中、体力の限界まで座り込みを続けたことも。2002年に拉致被害者が帰国した際も、ニュースで何度も報じられた映像とは別に、横田夫妻がどのように家族らと接してきたのか、素材をあらゆる角度から見つめ、ふたりの行動をひもといていく。

曽我ひとみさん、蓮池薫さんが明かすめぐみさんの“真実”

北朝鮮でめぐみさんと8ヵ月暮らした曽我ひとみさんは、帰国直後、横田夫妻に多くを語らなかったが、何度か面会を続けるうちに少しずつ彼女の様子を明かしてくれたという。今回曽我さんは番組の取材に応じ、めぐみさんとの日々について細かく教えてくれた。監視に聞かれないよう小さな声で「もみじ」や「ふるさと」を一緒に歌ったこと、めぐみさんはとても勉強熱心でひとみさんに多くのことを教えてくれたこと、日本人拉致に深く関わった工作員との生活など貴重なエピソードが明らかに。蓮池薫さんも単独インタビューに応じ、めぐみさんについて語った。蓮池さん一家がめぐみさん一家と近所に暮らした時期について「軟禁状態で生きるのは辛かったと思う」と語った。そして夫と娘と散歩するめぐみさんが見せた意外な表情については今でも忘れられないという。ふたりの拉致被害者の貴重な証言からめぐみさんの生活が明らかに。

全国民に伝えたい母・早紀江さんのメッセージ

早紀江さんのめぐみさんへのメッセージを軸に、夫婦の戦いを実写と渾身のドキュメンタリードラマで描いていく。めぐみさんは写真からは想像できないほど、素顔は明るくひょうきんでいつも家族の中心的存在だったこと。温厚な滋さんとそんな夫を支える早紀江さんのイメージだが、実はめぐみさんが拉致被害者と知らされた直後、めぐみさんの顔と名前を明らかにして戦っていくことにふたりは全く違う意見を持って戸惑っていたこと。政府から度々伝えられる残酷な知らせに対し、涙しながらも毅然(きぜん)と向き合ってきたことなど…菊池桃子と勝村政信が40年を超える夫婦の本当の戦いを演じきる。

コメント

菊池桃子 (横田早紀江さん役)

Q .今回横田早紀江さん役のオファーを受けたときの感想は

「正直、難しいなと思いました。報道番組を通して拉致事件のことは何となく知っていましたが、詳しいわけではなかったですし、多くの人が知っている人物を演じるのが違和感なくできるのか不安でした。でも、台本を読んだとき【自分の子供が突然いなくなったらどうしますか?】というシンプルな親心がテーマの中心にあったので、それだったらできるかな、と思いました」

Q .母という立場で早紀江さんがつきつけられた現実をどう捉えましたか

「本当に怖くて苦しくて悲しいことだと思います。自分に置き換えて想像したこともないし、想像したくもないことです」

Q .早紀江さんに抱いていた印象と演じてみて変わったことは

「報道番組で見ていた早紀江さんには、とても強い方だなという印象がありました。インタビューにも毅然と答えていらして。そこが、自分が演じる上で壁になるかなと思ったのですが、プロデューサーさんとも話して思ったのは、早紀江さんは、実際は強いわけではなくて、普通のお母さんなんだ、と。そんな普通のお母さんがあそこまで人々に強い印象を与えるほど頑張らなくてはならないのか、という意味を皆さんに考えていただくきっかけになればと思います。皆さんの知っている早紀江さんのイメージを見せたいなと思いつつも、家庭にいるシーンでは皆さんが知らないような普通のお母さんでいるところをしっかりお見せしたいです」

Q .印象的なシーンは?また難しかった点があれば教えてください。

「お父さん(滋さん)とのシーンで、早紀江さんのすごく弱い部分、不安な部分、怖い部分をお父さんにぶつけているんですね。本当に泣いてばかりのお母さんで、お父さんがいなかったら進めないような道を選ぶというシーンは印象的でした。また拉致被害者が帰ってきた羽田空港のシーンは自分の娘がいないタラップをみつめるカットは難しかったです。監督から“普通のドラマのように小さな感情の出し方では伝わらない”と言われました。ドキュメンタリードラマでは実際の映像の迫力が強いので、ドラマ部分は普通のドラマよりもポンポンと感情を上げていかないと生の映像に負けてしまう、と。そこは監督から指導いただきながら意識しました」

Q .早紀江さんの20代から現代まで長い期間を演じる上で工夫などは

「ウィッグをつけて白髪にしたり、しわを描いてみたり…プロの力を借りて変えていました。時代がどんどん進んでいくので気持ちを追いつかせていくのは大変でした」

Q .視聴者にメッセージを

「自分の子どもが突然いなくなったらどうなるか?皆さんも共感して見ていただけると思います。それが歴史的な事件と絡んでいく様子を見守っていただければと思います」

勝村政信 (横田滋さん役)

Q .今回横田滋さん役のオファーを受けた感想は

「驚きました。ドラマ化されるのはもちろんですが、僕で大丈夫なのか、と。拉致事件は未解決ですし、横田さんご夫妻を日本中の人が知っていますから。しかし、ドキュメンタリードラマは何度もお世話になっておりまして、作品ひとつひとつに縁を感じています。なので、ぜひやらせていただきたいと思いました」

Q .横田滋さんへの印象と演じてみて変化は

「ニュースでの知識しかありませんでしたが、滋さんたちが人生をかけて戦わなければいけない理不尽さを感じていました。この作品で、滋さんの明るく知的な存在が、本当に皆さんを引っ張っていったということがよくわかりました。もちろん拉致被害者の家族皆さんが同じ思いをされているのですが、滋さんは際立って強い方だと感じました」

Q .難しかった、悩んだシーンはありますか

「全部ですね。めぐみさんが拉致されるシーンは、演者だけではなく撮影スタッフも辛かったと思います。何故めぐみさんだったのか?そして帰国された人たちも素直に喜べないという悲しい現実があります。
どうしても泣くシーンが多くなってしまうし、事実がわかっているので、すべてのシーンが苦しかったです」

Q .滋さんを演じる上でこだわったことは

「余計なことをしないということですね。過剰なことはしない。現場では本当に菊池(桃子)さんの存在が大きくて。悲しい中にも凛としたたたずまいで、そこに光があるんです。皆、真っ暗の中で手探りなのですが、菊池さんがいるだけで明るくなりました。菊池さんも大変だったでしょうけれど、キャストスタッフ全員が菊池さんに救っていただいたと思っています」

Q .視聴者にメッセージを

「80過ぎた親御さんたちの時間には限りがあります。今の若い人たちは拉致のことも、北朝鮮そのものをあまり理解していない人もいると思います。この番組を通じて“帰ってくるまで終わらない”戦いが続いていることを知っていただけたらと思います」

企画:佐竹正任 (フジテレビ編成局)

「2年前の夏に横田夫妻の本格的な取材を始めてから現在に至るまで、日を追うごとにおふたりの老いが進み、滋さんは入院されるなど、残された時間が短くなっていくことを実感してきました。その間、2度に渡る米朝首脳会談が開催され、どちらも拉致問題が提起されるなど、解決への機運は高まっているように見えます。現在の状況は、横田夫妻や高齢の拉致被害者家族にとって、最後の希望と言えるのではないかと考えています。こうした実情やご家族が抱えてきた思いを、菊池桃子さんと勝村政信さんに完全に共有して頂いたことで、大変に思いのこもったドキュメンタリードラマが完成し、横田夫妻の41年間の真実を克明に描くことができました。一家にとって太陽のようだった13歳の女の子が突然いなくなり、ごく普通の夫婦が過酷な運命に翻弄されていきます。泣かされ続けながらも、娘に逢いたい、その一途な希望を胸に、横田夫妻は毅然と戦ってきました。
その生き様を、今回、ぜひ国民の皆様に広く知って頂きたいと思っています。そして今一度、全拉致被害者の即時一括帰国というご家族たちが掲げる目標に向かって日本が一丸となってくれたらと切に願っております」

出演者・スタッフ

出演者

【ドラマ】
菊池桃子
勝村政信 ほか

【ドキュメンタリー】
横田 滋
横田早紀江
蓮池 薫 ほか

スタッフ

【企画】
佐竹正任

【演出】
及川博則

【プロデューサー】
織田雅彦・井上義則

番組へのメッセージ