□『八つ墓村』の原作は読まれましたか?
■はい。以前にも読んだことはあるのですが、出演するにあたって読み直してみました。そして、このストーリーは、哀しい愛の話でもあることを再認識しました。監督も原作のニュアンスをとても大事にしていらっしゃるので、そういう意味では役作りの上で大変参考になりました。余談ですけど『白い巨塔』で演じた財前杏子は、撮影前にスタッフから"原作とは違った役になります"と言われていたので、脚本に沿ってオリジナルの杏子を作ったんです。けれど、美也子は原作から立ち上げました。
□美也子のレトロな衣装とヘアー&メイクが、とても素敵ですね。
■ありがとうございます。あの、実は私って田んぼの中にボーっとたっていると、風景になじんでしまう方だと思うんですよ(笑)。そこで原作にある通り『八つ墓村』には、ふさわしくない、村にはいそうにない都会的な女性として登場するために、髪の毛はショートの"美也子カット"にしてみました。ロングのままでも"美也子"になると思うのですが、村で暮らす女性キャラクターは時代的にもロングが多いので、髪を切るという強い自己主張を持った女性として対比をさせたんです。『八つ墓村』で描かれる"家柄"や"村のしきたり"、"歴史"などとは違うところに存在させたい。美也子は、自分の居場所を村ではなく都会…別の場所に見つけている人なんですね。前髪のカールは星監督のリクエストです。また、原作を読んだ時美也子は"赤いルージュ"の似合う女性と感じました。監督にお話したら"それは、いいね"と、なりまして。ショートヘアと赤いルージュ…これが、今回の美也子のポイントなんです。美也子の性格が反映された姿としてうまく画面に出ていると良いのですが…。