#224 熱海 湯河原
2008年2月5日O.A
■「山是山水是水」夏目漱石最期の旅
数多の文人たちに愛されてきた名湯・湯河原温泉。人生、最後の旅で、この温泉を訪れた文豪がいます。それは国民的作家・夏目漱石。1916年(大正5)1月27日から2月16日までの20日間、最後の作品「明暗」の執筆中であった漱石は療養のため湯河原温泉に逗留していました。その折、漱石の目を楽しませたのは湯河原の自然美だったそうです。人生の大半を近代人であることの苦悩の探求に費やしてきた漱石にとって、その体験は印象深いものだったのでしょうか。逗留していた宿に「山是山、水是水」という禅語を引用した言葉を書にしたためて残したのです。山は山であり、水は水である。そのあるがままの全てが調和している世界の真実を、湯河原に見出したのかもしれません。この地を散策してみれば、漱石が見出したものはわかるかもしれません。
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