#206 群馬県富岡
2007年9月11日O.A
■日本近代産業の発祥〜富岡製糸場〜
日本の近代化産業の発祥地として知られ、殖産興業の名残を今に伝える富岡製糸場。
2007年1月に世界遺産の暫定リストにも追加登録されたその建物には、歴史的価値とともに、ヨーロッパと日本の技術が融合した、建築的な価値としても高く評価されています。
まず、このようなものを建築する場合、ヨーロッパでは通常レンガを積む工法が取られますが、当時レンガ造りに慣れていない日本では困難だったため、日本人の得意な木材で骨組みをつくり、その間にレンガを積む、和洋折衷方式の木骨レンガ造りという工法を取り入れました。また、建造物の主要資材は礎石、木材、レンガ、瓦で構成され、鉄枠のガラス窓や観音開きのドアの蝶番(ちょうつがい)などはフランスから仕上げて運び込まれたものでした。しかし、資材の調達は大規模な建築のため多くの困難が伴っていました。
それを打開しようと考案されたのが、群馬の大自然を活用することでした。まず中心となる材木(杉の木)を妙義山、また松の木は吾妻から調達し、礎石の石材は連石山(甘楽町)から切り出して造ったのです。さらにレンガの目地は、セメントの代用として漆喰を使用。原料となる石灰は下仁田町青倉産のものでした。
このように、日本の殖産興業の象徴ともいえる富岡製糸場には、ヨーロッパの技術とともに、日本の英知もつまっているのです。
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