#122 岩手県遠野
2006年1月10日放送

  • 日本民俗学の夜明け〜柳田国男(やなぎたくにお)と遠野〜

  • 岩手の霊峰・早池峰山をはじめとする数々の山に囲まれた里・遠野。
    この地は、山人、河童などの伝承を豊富に残すゆえ、民話の里として広く知られています。この地に語り継がれた物語の魅力。それを世間に知らしめたのが、日本民俗学の創始者・柳田国男です。

    幼き頃より、柳田は妖狐の跋扈(ばっこ)、神隠しといった妖異に満ちた世界を身近なものとしていました。それゆえ成長して、官僚として働くようになっても、一つの問いにこだわり続けてきました。
    妖怪などの存在を必要としてきた人々の心根は、何を源としているのか。
    それを知るための伝承を豊富に残した地は、いずこなのか。
    そんな柳田は、ある青年の語る伝承の数々から、答えを見つけ出しました。青年の名は佐々木喜善。遠野出身で、後に作家、民俗学者として名を成す人物です。
    柳田は彼との出会いを通し、求めていた地を、見つけ出したのです。

    明治42年(1909)、柳田は、遠野を訪問。鹿踊りなどの習俗に触れたことにより、一つの使命を抱くようになりました。
    それは、民話や習俗といった具体的なものを通し、心根のありのままを探る学問。民俗学を作り上げ、世に知らしめていくことでした。
    翌年、柳田は「遠野物語」を発表。この作品は、人々の忘れていた記憶をくすぐるかの様に、五感を刺激し、人々の心に浸透していきました。
    そして遠野の地は、民話の里として、知られるようになったのです。
    そんな民話の里・遠野を訪れると、民俗学の原点に触れる事が出来ます。

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    (C)フジテレビジョン