#104 福島県猪苗代湖
2005年8月23日放送
猪苗代湖とおきな
その昔、日照り続きで、水も食べ物も不足している村がありました。
そんな村に、ある年の夏の昼下がり、ボロボロの法衣をまとった旅のお坊さんがやって来ました。お坊さんは二日間飲まず食わずで、村の人たちに何か恵んでもらおうと、一軒、一軒頼んでまわりました。しかし村の人たちも自分たちの生活で精一杯だったので、お坊さんに物を分けることなく、お坊さんは皆に拒まれてしまいました。
とうとう最後の一軒となったの家の前に立ったお坊さんが、弱々しい声で家に向かい声をかけると、中から出て来たのは、おきなという娘でした。おきなは弱っているお坊さんを見ると気の毒に思い、家の中に入れ横になって休ませてあげました。しばらくしておけを天秤棒にぶらさげ、出かけて行ったおきなは おけ一杯の水を持ち帰って来てその水をお坊さんに差し出したのです。
美味しそうに水を飲み干し、元気を取り戻していくお坊さんを見ておきなは嬉しそうでした。やがてお坊さんは、お世話になったお礼に、おきなの願いを叶えてあげたいと言いました。おきなは、「この村は水が乏しく田んぼが出来ないから水が欲しい」と答えました。すると、お坊さんは「分かった」とうなずき立ち去って行きました。
それから一日たった次の日から大雨が降り、その雨は一か月も降り続き、とうとう一面水びたしになって大きな湖が出来ました。こうして出来た湖が猪苗代湖でこの湖のおかげで、米が実るようになり、村人達は食べ物に不自由する事なく幸せに暮らす事が出来たということです。
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