#95 長野県小諸市
2005年6月21日放送

  • 島崎藤村と小諸

  • 明治の文豪・島崎藤村。彼は9歳で学問のため上京後、日本橋の泰明小学校に通い明治学院普通科を卒業。藤村は「文学界」で北村透谷らと共に浪漫派詩人として活躍し、明治30年には詩集『若菜集』を刊行しました。
    しかし藤村は、次第に自分を“詩"で表現する事に限界を感じ始め、「もっと自分を新鮮に、そして簡素にすることはないか。」という自分との葛藤が始まりました。そんな時、恩師の木村熊二先生からの誘いがあり、小諸に移り住む事になりました。それは藤村28才(明治32年)の時でした。

    藤村は、小諸義塾で講師をする傍ら暇を見つけては、よく千曲川の上流から下流までを散策し、小諸の地元の人たちと語り、自然の厳しさを身近に感じながら生活を送っていました。それが、随想集「千曲川のスケッチ」となり、それを元に小説「破戒」が生まれたのです。そんな藤村が、小諸で過した期間は28才から34才の6年間という短い期間でした。しかし、藤村の作家人生の中で、今までの浪漫派詩人から自然主義を代表する作家としての、新たな一歩を踏み出す勇気を与えたのが、まさに小諸で過ごした6年間だったのです。

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