#94 長野県諏訪
2005年6月14日放送
「かね」と鉄焼地蔵
昔、諏訪にかねという娘がいました。かねは幼くして父母と死に別れたため下諏訪にある別当という家に預けられ、そこで働く事になりました。しかし、別当夫婦はとても意地悪で、小さなかねを夜が明けないうちから叩き起こし、田畑の仕事などを押し付けて牛や馬のようにこき使っていたのです。でも、かねはそんな意地悪にも負けず元気に働き続けました。
そんなかねを支えてくれたのが仕事へ行く途中にあるお地蔵さんでした。かねは毎日のように咲いている綺麗な花を供えたり、自分の食べるお弁当を半分取り出しては、お地蔵さんにあげ、祈りをささげました。しかし、ある日その事を主人に告げ口され、その話を聞いた主人の妻が怒って真っ赤に焼けている火箸でかねの額を打ちつけたのです。
その驚きと痛さで、かねは泣き叫び表に出て走り続け、気がつくとお地蔵さんの前にたっていました。 すると、お地蔵さんの額には傷が出来ていて、かねの額の傷はなくなっていたのです。そればかりか隣に温泉が湧いていて、その温泉に顔を映すと、前よりも美しい顔になっていました。
かねが家に帰ると、傷が無くなっている事や美しくなっていることを不思議に思った別当夫婦が理由を聞いた所、かねは今まであった事を話しました。そんな不思議な話を聞いた、別当夫婦は心を入れ替え、かねを大切に育てました。その後、かねの美しさは都にまで知られることとなり、立派な方の妻になり、幸せに暮らす事が出来たということです。
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(C)フジテレビジョン