#72 秋田県乳頭温泉
2004年12月21日放送
辰子姫伝説
むかし、安倍三之丞の娘・辰子という稀に見る美貌を持った娘がいた。年頃になった辰子は自分の美しさを永遠のものとしたいと思うようになり百日詣をする。そして満願の夜、観音様が現われ、北の山を越えたところに霊泉があり、それを飲めば願いが成就するとのお告げがあった。辰子はその泉へ向かった。泉に手を差し入れ、がぶがぶと飲みつづけた。すると、辰子の身体は見る見るうちに大きな竜に変わり、それと共に天地鳴動、山が崩れ谷を埋め水が溜まり、大きな湖ができた。
竜になってしまった辰子は湖に入り、そしてここの主となった。この事を知った辰子の母は岸辺に松明をかざしながら名前を叫び続けた。その声を聞いた辰子は湖面に姿を現し、「私の願いは叶った。永遠だ。」と言い、そのまま水中へと姿を消していった。母は悲しみ「情けないことよ…。」と、松明の燃えさしを湖面に投げ捨てた。するとその燃えさしに見る間に尾びれがつき、湖心に向かって泳いでいったという。
後に、永遠の美を手に入れた辰子姫は、秋田県八郎潟の主と恋に落ち、毎晩八郎が田沢湖に来ては、逢瀬を重ねた。田沢湖は二人の愛の深さを象徴してか、日本一深い湖である。そしてまた、東北の豪雪地帯にも関わらず、冬でも凍らない湖としても有名である。八郎潟が凍りつく冬の間、八郎は田沢湖に来て、辰子姫と共に凍ることのない田沢湖で過ごしたという。
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