#64 長野県戸隠村
2004年10月26日放送

  • 鬼女 紅葉

  • 今から千年ほど前のこと、会津の伴笹丸・菊世夫婦は第六天の魔王に祈って娘呉葉(くれは)を授かりました。娘が才色備えた美しい女性に成長した時、一家は都に上って小店を開き、呉葉は紅葉(もみじ)と名を変えて琴の指南を始めました。ある日、紅葉の琴の音に足をとめて聞き入った源経基(みなもとの つねもと)公の御台所は、紅葉を屋敷に召して侍女といたしました。紅葉の美しさは経基公の耳にも届き、公は紅葉を召して夜を共にしました。経基公の子を宿した紅葉は、公の寵愛を自分のものだけにしようと、邪法を使い御台所を呪い殺そうと謀りました。
    しかし比叡山大行満津師の法力で企みが露見し、紅葉は捕えられました。経基公は生まれ来る子を哀れんで、罪を減じて彼女を信濃戸隠へ流しました。信濃に至り、川をさかのぼると、根上り(ねあがり)の山里に出ました。「我は都の者。御台所の嫉妬で追放の憂き目とあいなった」と語る麗人を純朴な里人は哀れみ、内裏屋敷を建てて住まわせました。紅葉は喜び、里人が病に苦しむと占いや加持祈祷をもって病を治してあげたのでした。

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