#54 東京都 青梅
2004年8月10日放送

  • 八百比丘尼

  • ある日、長者は海に釣りに出て、七色に輝く珍しい魚を釣り上げました。長者は、キラキラと光る鱗を持ったその魚を一度は持ち帰ったものの、気味が悪くなり浜に捨ててしまった。そこを通りかかった漁師の娘が、この珍しい魚に気づき、その肉を少し切取り持って帰った。
    初めて見る魚の、真っ白く透き通り、七色に輝く肉を味見してやろうと、火をおこしていると、美しく愛くるしい少女が勢いよく入ってきた。その少女は長者の娘で、その漁師によくなつき慕っていた。お腹が空いていた長者の娘は、漁師のかたわらにある七色の肉に気づき、漁師が止める間もなくペロッと食べてしまった。長者の娘は、こんな旨い魚を食べたのは初めてと喜び白い椿のような顔をほころばせた。
    実は、この奇妙な魚、人魚だったのである。人魚の肉を食べた長者の娘は、いつまでたっても年を取らず、17、8の若さを保ち続け、800年もの長寿を得たと言われている。120歳の時に出家し、八百比丘尼と言われた彼女は全国を遊行し、長い年月をかけて得た知識や知恵で歴史の語り部となったそうだ。

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    (C)フジテレビジョン