#49 山形県 櫛引町
2004年7月6日放送

  • 絵姿女房

  • 昔、櫛引町の黒川に孫三郎という正直だが怠け者の農夫が住んでいました。孫三郎は全く働きませんでした。困った親は、とても綺麗で働き者の嫁をもらってやりました。彼は喜んで働くようになりましたが、一時も彼女と別れたくない彼は、妻の顔ばかり見て、また働かなくなってしまいました。困っていると、嫁は"いい考え"があるといって、自分の大きい姿絵(似顔絵)を描いてもらい、畑に立てた絵を見ながら、孫三郎はまた一生懸命働くようになりました。
    そんなある日、突風が吹き絵を空高く飛ばしてしまい失くしてしまいました。飛んできた絵を見た領主は自分の妻にしたいと、力ずくで連れ去ってしまいました。しかし、彼女はじっとうつむいたまま黙り込んで一切笑わなくなってしまいました。
    そうして、秋になり、栗の季節になり、栗売りの声が聞こえると、嫁は突然ニコッと笑顔を見せました。うれしそうな彼女を見た殿様は、喜んで栗を全部買ってあげました。実は、その栗売りは孫三郎だったのです。殿様は栗売りの孫三郎を城の中に呼びつけ、着物を脱がせ、自分の着物と取り替えました。そして、殿様はそのまま走って出て行きました。すると、嫁は誰がきても開けないようにと命令しました。そして、殿様が戻ってきて門を開けるように言いましたが、門番に追い出されてしまいました。
    そして、孫三郎と嫁はお城で仲良く暮らしました。その後、村に戻った二人は、村人に能を教え、春日神社と黒川能をつくりました。

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    (C)フジテレビジョン