#42 富山県 高岡市
2004年5月18日放送

  • 大伴家持

  • 万葉集の編纂に大きく関わったとされる歌人・大伴家持。彼の創作欲が大きく刺激されたのが29歳から34歳まで越中国守として赴任していた期間。万葉集に残された歌は全部で4536首。このうち大伴家持のものは473首。そのうちの220余首がこの越中(富山県)を舞台に詠まれたものである。
    故郷の佐保の地にはじまり、父親の旅人(たびと)とともに太宰府にて幼少時代を過ごす。成人した家持は内舎人に任ぜられて、しばしの間、京で過ごすことになる。そして、初めて国守として赴任した越中の地。そこで、家持はその風景に魅了される。特に家持の心を打ったのが、かつて渋谷の崎と呼ばれた壮大な雨晴海岸や雪を冠した立山連山。それを見ただけで家持の頭には、滾々と湧き水のように、歌が浮かび上がってきた。まさに、この地の風景が万葉の歌人・大伴家持を生み出したのである。

    馬並(な)めて いざ打ち行かな しぶたにの
    清き磯廻(いそま)に寄する波見に

    現代語訳:馬を並べてさあ出かけようじゃないか。しぶたに(現・雨晴海岸)の清らかな磯に打ち寄せているその波を見るために

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