菊田早苗 VS. 瀧本誠 PRIDE男祭りで究極の寝業師対決!
文・李春成
「僕は柔道部を退部してますから。退部した時点で挫折した人間なんですよ。だけど瀧本や吉田さんのようなオリンピックでトップになるようなアスリートたちっていうのは、選ばれ抜かれた人間なんです。勝負勘、力、センス、身体能力……、どれをとっても僕らとはレベルが違う。柔道の全日本選手権で3位になった選手ともレベルが違うんです。そういう人間が格闘技へ転向しても、これは絶対に強いんです。吉田さんの試合をテレビで観たことがありますが、地球と宇宙の果て、それぐらいのレベルの違いを感じましたからね」
菊田の柔道時代の先輩に、130kgクラスの重量級選手がいたという。そんな選手に道衣をつかまれると、90kg級の菊田には道衣を切ることさえもできない。ところが吉田や瀧本などの超一流選手たちの手にかかると、道衣をいとも簡単に切ったあげく、あっさりと投げてしまうんだそうだ。
菊田の声に、さらに熱が入る。
「べつに力が300kgあるわけでもないじゃないですか。なのに、あの人たちには道衣が切れて、僕には切れない。もう想像もつかないような世界なんです。そんな選手が柔道から総合へ、たまたま転向してきたんです。僕も寝技で世界一になって10年間プロとしてやってきて、まさか柔道の金メダリストと当たるなんて思ってもいませんでしたからね。これはもう、やらなきゃしょうがないんですよ。そんな選手と交わる機会なんて、永遠になかったかもしれないんですから。あらためて思いましたよ。柔道って、これほど僕と切っても切れない存在だったんだって」
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