菊田早苗 VS. 瀧本誠 PRIDE男祭りで究極の寝業師対決!
文・李春成
彼が最も輝いたのは、01年だろう。1月の「アブダビコンバット」には20数名を超える日本人勢が出場したが、優勝したのは菊田ひとりである。これで彼は、名実ともに「寝技世界一」の座に就いたのだった。さらにこの年の秋には、目にも止まらぬ鮮やかな攻防で美濃輪育久を破り、パンクラスの第2代ライトヘビー級王者にも就いた。そんな急成長を遂げたファイターを、PRIDEのマッチメイカーが見逃すわけもなかった。
しかし02年4月のアレクサンダー大塚戦に至るまでの経緯にも、複雑なものがあった。シウバかミルコ・クロコップという彼の希望は、この両者のカードが組まれたことによって流れてしまう。対戦候補にはクイントン・ジャクソンの名もあったが、減量を拒否されて実現不能となる。過去ヘンゾに敗れていることもあり、グレイシー勢からも相手にされなかった。そうこうするうちに本番までの時間がなくなり、急きょ決定したのがアレクだった。
調整ミスがたたったのだろう。結果は、判定勝利である。この数年間でプロファイターとしての誇りを身につけた彼にとって、とうてい納得できるような内容ではなかった。
かくのごとく、菊田とPRIDEの巡りあわせは悪い。しかも瀧本との試合には、大きなリスクが伴う。にもかかわらず承諾したのは、柔道のトップアスリートに対する憧れと、畏敬の念があったからにほかならない。
この試合に、彼はなぜ「使命感」をもつのだろうか。その不思議な心情を、練習を終えたばかりの菊田が吐露した。
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