菊田早苗 VS. 瀧本誠 PRIDE男祭りで究極の寝業師対決!
文・李春成

シドニー五輪の柔道81kg級ゴールドメダリストが、もし菊田に敗れたとしよう。いかに吉田道場のナンバー2とはいえ、今後PRIDEのリングに上がるペースが少なくなったとしても不思議ではあるまい。
だが、その瀧本以上に深刻なのが、3歳年上の菊田だった。
「だって瀧本には、金メダリストという輝かしい肩書きがありますからね。逆に僕が負ければ、一切のチャンスを失う可能性があります。でも、そのリスクを上回るだけの魅力が、今回の試合にはあるんです」
菊田は、PRIDEマットでの縁に恵まれていない。「いつもタイミングが悪いような……」と苦笑する。
デビューしたのは98年3月の「PRIDE.2」だった。まだプロで数戦しか経験のなかった菊田だったが、その素質を買われての指名である。しかし相手はヘンゾ・グレイシー、しかも1R10分の無制限という、彼には文字通りの処女航海だった。
「まだアマチュア的な発想でしか試合をやってなかったんで、観客を喜ばせようなんていう意識もなく、試合時間だけが長くなっちゃったんです。なにしろラウンド無制限ですから、いつ仕掛ければいいのか、そのタイミングがわからずに苦労しました。だって先にスタミナを使い切ってしまったら、そこで試合が終わっちゃいますからね」
6R43秒、ヘンゾの首固めで敗れた。試合時間は50分以上にも及んだことになる。いま振り返れば、この試合を受けた時期が悪かった。もう少しプロとしての経験を積んでから臨めば、結果はもっと違うものになっていただろう。

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