インタビュー・文/李春成

「F1ドライバーになりたい」

ゴーカートのおもしろさに心を奪われた少年たちは、誰もが等しく同じ夢を語る。そして、より高い性能をもったマシンを求めて腕を磨き、夢に向けての階段を一歩ずつ昇ってゆく。井出有治もそんな少年のひとりだったが、トップドライバーへの関門を幾たびもくぐり抜け、生き残ってきたという意味では、すでに国内最高峰のスペシャリストの域に達している。彼に最後に残されたものは、「F1ドライバー」という肩書きだけなのだ。

「フォーミュラーニッポン 第4戦 富士」6月7日火曜深夜2時28分〜3時48分
R:レーシングドライバーという職業には、「一歩間違えれば命との引き換え」というリスクが常につきまとっています。そこが他のスポーツと大きく異なる点ですが、ディフェンスとオフェンスのどちらがより重要なファクターになるんでしょうか。
I:両方ですね。ただ、そのバランスをとっていくには、やっぱり経験を積んでいくしかないと思います。かりに50周のレースを走るとします。この50周を常に一番で走りきれば問題ありませんが、現実はそうもいきませんよね。たとえば、後続車をもっと離してやろうと欲を出してスピンしたりとか、守りすぎて遅くなって抜かれたりということが実際にありますから。だから、レースの展開によって守ったほうがいいときと、攻めたほうがいいときがあるわけです。1周するごとに残りの周回数、自分のクルマの状態を常に考えてますね。ピットからの無線も参考にして、後ろのクルマの様子を見ながら、「いま自分はどうすべきなのか」を考え、答えを出すんです。
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