◎インタビュアーの目
これまでにも何人かの関取にインタビューした経験はあったが、これほどアスリート然とした佇まいをもった関取は、角界でも珍しいタイプなのではないか。一つひとつの言葉をしっかりと繋ぎ、筆者の質問に真摯に答えてくれた。虚勢を張ることもなく、自分の弱点を率直に認める度量の広さもある。関取という特殊な職業の人間と会っていることをいつのまにか忘れ、普通の28歳の男と話しているような錯覚にも襲われた。
ここ数年の栃東関は、ケガと本場所との競走に悩み抜いた。ケガが治りかかったと思ったら、容赦なく次の場所が訪れる。その繰り返しである。だが満身創痍となった逆境の中を闘い続け、再び大関に返り咲いたという自信は、いつの日か結果につながるだろう。朝青龍関の連勝を止めるのは誰なのか。相撲を取ることの苦しさを知る栃東関にも、その資格はもちろんある。
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