◎インタビュアーの目
大村の使われ方は多彩だ。ある時はライト、またある試合ではレフト、そしてワンポイントブロッカーとしてのコートに送り出されることもある。大村はその大変さを「野球で言えば代打でバッターボックスに立ち、毎打席ホームランを求められるようなもの」と表現したことがある。想像しただけでそのプレッシャーに身が縮みそうになるが、大村は途中でコートに入るときは、いつも笑っている。とにかく今、そんなプレッシャーも、身体の痛みも、厳しい練習も、すべてが楽しいのだと言う。バレー選手としては致命的な膝の手術を受け、「顔がお岩さんのようになった」という原因不明のアレルギーに冒されながらも、バレーを続けることによって、人間は変われると知ったことが、プレイのベースにあるからだ。大村の場合、変わるというのは進歩を意味する。大村は、自分を愛し始めた。自分に自信を持った。自分を信じられるようになった。だからこそ、たとえ、控えのポジションであっても、コート入りする時は新人選手のように初々しいし、溌剌とプレイしている。大村は、どんな時でも笑顔を崩さない。人間的な引き出しの多さから来るあの笑みは、チームが逆境に立たされた時にこそ、値千金になる。大村の存在は、五輪などのような大きな舞台でより際立つはずだ。五輪が終わった時、「きんきら金メダル」の笑みが見たい。
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