◎インタビュアーの目
「彼女こそ、ウォーリアだ」。トルコのレシャット監督はワールドカップ期間中、強気なトス回しに終始する竹下を称してそう言った。もちろん、竹下の闘争心の強さは今に始まったことではない。4年前の世界最終予選の時も、初めての全日本選出にもかかわらず「私は勝つために呼ばれた」と言い切った。そんな彼女がその2年後に突然、バレー界から姿を消した時はショックだった。あれだけバレーを愛していた選手が、あれだけ真面目に取り組んでいた竹下が、なぜバレーを止めなければいけないのかと思うと心が痛んだ。彼女に限って「限界を感じての引退」というのはあり得ないと思ったからだ。なにか、本人の意図するものと違う作用が働いたのではないかと推察していた。しかし彼女はまた舞い戻ってきた。さらに大きな人間に変貌してコートに立った。単なるトスワークの上手さではなく、他人の潜在能力を引き出す術も身に付けていた。世界最終予選や五輪などの勝負の鍔際では、テクニック以上に選手の人生観や哲学が勝敗を左右する。人生の蹉跌を経験し、それを乗り越えた人間がトスを回す全日本は、だからこそ見応えあるし、プレイに引きつけられるのである。
[戻る]
[戻る|0.TOP]
(C)2004 Fuji Television.