◎インタビュアーの目
成長エネルギーをビンビン発している。予想もしない答えばかりが返ってきて、4回転を決めた世界で唯一無比の選手は、やはりひとつの物差しでは計り切れないものを持っていると改めて認識させられた。第一印象はまるで違った。スケート連盟のブレザーに身を包んでいる時は、16歳にしてはかなり大人びた印象を受けた。クールビーティの凛とした美しさがあった。ところがいったん口を開くと、無邪気な少女の顔も覗かせる。喋り口調はゆったりしているし、時々会話の途中に「ウフッ」というブレースを入れる。会話しながら自分で「なんて馬鹿なことを言っちゃったんだろう」と思うと「ウフッ」と息継ぎして誤魔化すのだという。本能的に状況を計算しているのだ。安藤選手にとって4回転もさほど難しい技ではないんだろうな、と思ったのは「先輩達はやろうとしなかっただけです」とさらりと言ってのけた時だ。自分が習得にさほど苦労しなかったので、他の選手も出来ないはずがないと思ってしまうその底知れぬ能力。今はちょうど、子供から大人に変わる精神の地殻変動の時期なので、自らチクチクするようなエネルギーを発し、そしてまた色んなことが吸収出来る。いい時期に、世界選手権に出場できるチャンスを手にしたと思う。多分、安藤選手は世界選手権でさらにジャンプアップするはずである。ミッシェル・クワンにサインを貰いたいと胸をときめかせている少女が、何年もしないうちに逆の立場になる可能性は高い。そんな“世界のアンドウ”に対し、会話中のあまりの可愛らしさに頭を撫でてしまった。すると、「私はもう16歳です!」とぴしゃりとやられてしまった。失礼しました。
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