Y:絶対的な愛情を注いでくれたお母さんが、99年にくも膜下出血で突然、他界されました。
I:自分の身体が引き千切られるほど辛かったです。僕にとっては絶対的な人でしたから。でも、自分の死を賭けて教えてくれたことがあるんです。僕はその半年前ぐらいから、全然勝てなくなってしまっていた。自分でもその原因が分からず苦しんでいた時期でした。母が6月に突然亡くなり、その後に未郵送だった僕への手紙が出てきて、そこに「今の康生の柔道は楽しそうじゃない。柔道を始めたばかりの頃の初心に戻りなさい」というようなことが書いてあったんです。確かに僕は5歳からエリート教育されて、柔道は強かったかも知れないけど、精神的には甘かった。だから、あるレベルまで来ると、伸び方が頭打ちになっていたんです。母の死によって一皮剥けたのは事実。それまでは、負けてもどこかに逃げていたようなところがありましたけど、退路を遮断することが出来ましたから。母が、自分の命と引き換えに、自分の身体を捨ててまで、僕に力を与えてくれたと思っています。だから、未だに近くにいるように感じますし、見守ってくれていると信じています。
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