新ニューヨーク恋物語
Story
■ロングアイランドで小さなワイナリーを経営する田島 (田村正和) は、 マンハッタンを見下ろす高級アパートメントで生活していた。 加齢性黄斑変性症により、 田島の右目はほぼ失明状態にあり、 左目も視野が狭くなっていた。 その病のせいもあって、 田島は自らの人生の終焉を感じ、 それを受け入れているかのように孤独な暮らしを続けていた。
ある日、 田島は、 書店の前で藤倉英子 (竹内結子) という若い日本人女性に出会う。 両手に荷物を抱えた英子が、 ヒールがマンホールの穴にはまって困っているところを助けたのだった。 英子は、 写真の勉強でNYにやって来たのだという。
あくる日、 田島はスーパーマーケットで再び英子に出会う。 が、 そんな "偶然" も田島には全く興味のないことだった。

数日後、 最初に出会った書店の前で英子は田島に声をかけた。 スーパーマーケットの店員から、 田島が近くに住んでいることを教えてもらったのだと言う。
それを機に、 英子はたびたび田島のところにやって来るようになった。 英子は、 アルバイトしていたクラブをクビになったから、 田島のところでメイドの仕事をしたいと言う。 しかし田島は、 冷たくその申し出を断っていた。

実は英子は、 日系人のFBI捜査官・滝井 (石黒賢) に命じられ、 田島の行動を調べていた。 滝井は、 田島が、 ある上院議員と日系企業の間の不正献金の仲介をしているとにらんでいた。 そのために、 成功すればグリーンカードの便宜を図る、 と言って、 アメリカにいなければならない事情のある英子を利用していたのだ。

その滝井は、 田島のことを知るもうひとりの日本人にも接触していた。 イーストサイドで寿司バーを経営する小池一徹 (柳葉) だった。 滝井は、 小池の妻・美姫 (李恵淑) がかつて田島と関係があったこと、 小池がそのことで今も田島に対していい感情を持っていないことも知っていた。

そんなある日、 田島は暴漢に襲われ、 怪我を負ってしまう。 犯人は、 財布や手帳などを盗んで逃走したが、 どうやら最初から田島を狙っていたようだった。
田島は、 アパートの前で待っていた英子の手助けで、 セキュリティにケガを気づかれずに部屋に戻った。 思いがけず田島の部屋に入ることに成功した英子は、 彼に命じられて薬を買いに行くため、 お金を探しに書斎に入る。 そこでピストルを見つけた英子は一瞬驚くが、 気を取り直して部屋にあったハガキなどを、 持っていたデジタルカメラで撮影する。 手当を受けた田島は、 英子に日当を渡し 「明日の朝、 新聞を買ってきてくれ」 と頼む。

英子は、 その写真を、 滝井に言われたとおり連絡係の小池の元に届ける。 手渡した封筒には、 デジカメのメモリーカードと、 「田島雅之のメイドになりました」 というメモが入っていた。 それを偶然見てしまった美姫は、 一徹と英子の行動を不審に思いつつ、 15年前の田島と自分の過ごした日々を思い出していた。

一方、 英子は、 メイドとして田島のマンションに通うことになった。 それでも田島はなかなか心をひらいてはくれない。 そんなある日、 ある知らせによって田島は死を決意する。 が、 ピストルを目の前にした田島を英子が必死に止めに入る。 生きている意味がないと言う田島に、 それでも生きていてほしいと言う英子。 田島は、 英子の言葉によって死を思いとどまった。

その日をきっかけに、 ふたりの距離は徐々に近づいていった。 しかし、 田島の不正を暴くという使命を負った英子は、 深まる田島への想いとの狭間で悩む。 スパイ行為をしてまで英子が手に入れたかったもの――それは、 グリーンカードの他に、 里子に出された自分の息子を取り戻すことだったのだ。

悩む英子と、 彼女の正体を知らない田島。 それぞれに事情を抱え、 親子ほど年齢の離れたふたりの、 恋の行方は…。

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