変人か、それとも本当の聖人か
国際社会が佐々井を評価し始めた。佐々井は布教とともにほとんど野ざらしになっている仏教遺跡の復興運動にも力を入れている。その最も大きな運動がビハール州、ブッダガヤーにある仏教の聖地で長くヒンズー教徒の管理下にあり荒廃した大菩提寺の変換運動。1992年からデリーまでの陳情行脚を続け、次第にその重要性が世界に認められ、ついに2年前にユネスコが世界遺産指定するほどになった。(現在も運動は継続中)ほか、ナグプール近郊の巨大仏教遺跡の発掘など、仏教史を塗り替える発見が佐々井の運動で次々と見つかっている。
しかし、佐々井がさまざまな評価を受けるようになったのはごく最近のことだ。佐々井の発言には大言壮語も多く、怪しい魅力を放つ。行動手法は自ら先頭を切っての体当たり。そうした破天荒なやりかたを心良く思わない人も多かった。しかし、佐々井はインド民衆の懐深くに入り込み、人の心をとらえてきた。
100万人のインド仏教徒があつまる最大の集会
アンベードカル改宗式の導師を佐々井が務めるインドは21世紀の大国といわれるが、カースト制度により多くの貧困層を抱えている現実は100年前から何ら変わっていない。そのインドで仏教改宗はヒンズー教徒がカーストから解放される一つの手段である。佐々井は今そこにある貧困の一助となるために、死ぬまで活動を続ける覚悟でいる。長年の体の酷使と70にさしかかる年齢とで弱くなっていく自分を自覚する毎日。残された時間は短い。
佐々井は今、インドで最も尊敬される仏教指導者だ。毎年10月に開かれる100万人の大改宗式を軸に佐々井秀嶺とインド仏教の現状に迫る。
■企画
吉田 豪(フジテレビ)
■プロデューサー
大隅正睦(スローハンド)
■ディレクター
小林三旅(スローハンド)
■制作
スローハンド
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本放送日:2004/12/29
『男一代菩薩道2〜佐々井秀嶺 44年ぶりの帰郷〜』>>
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